2011.08.31
3年に一度の現代アートの祭典!
「ヨコハマトリエンナーレ2011
OUR MAGIC HOUR -世界はどこまで知ることができるか?-」
3年に1度の現代アートの祭典が、いま横浜で開催中です。世界を視野に入れたビッグイベントとして横浜市が力を入れているもので、今回が4回目となります。
はじめに結論的なことをいってしまいますと、私の感想は(あくまで私の、ですが)、 「規模は前回より小粒になったけれど、中身は面白かった」です。
前回は「タイム・クレヴァス」というテーマが掲げられ、何だかよくわからない小難しい議論が先行して戸惑いましたが、今回は違和感なくトリエンナーレに入っていけました。
さっそくご紹介しましょう。
パッと見は一つの丸いオブジェのように見えますが、じつはこれ、↓
見た目はたしかに《One》ですが、実際は無数の粒の集合体......作品にはどんな意味が込められているのでしょうか? 粒は何かを象徴しているのでしょうか?
この粒つぶは模造ダイヤだそうですが、じつはこのなかに一つだけ本物のダイヤが混じっているそうです。一つの本物と、その他多くのイミテーション。
《One》というタイトルともども、いろんなことを考えさせる気がします。
これらのランプ、横浜在住のある子どもの部屋の電灯スイッチとインターネットを介して連動するしくみになっています。ランプが点いているということは、いま子ども部屋の電灯は消えているということ。
この場所には不在の子どもの存在が「点灯」という現象によって示されます。
作品のタイトルは《他者》。作者は何をいいたいのか? ネットを介してというところが現代社会のありさまを象徴している気がします。
白い服を着た女性たちが、白砂が敷き詰められた場所をほうきで掃きながら歩いているシーンが映し出されます。《Tracking Happiness(幸せを追い求めて)》というタイトルが付けられています。
タイトルからすると、彼女たちの営みは幸福を求める作業ということでしょうか。
しかし......
あとには自分自身の足跡が残ります。それをまた次の人が掃いていく......。
いくら掃いても足跡が消えることは永遠にありません。
《Tracking Happiness(幸せを追い求めて)》――。
ギャラリースペースへ入っていくと、空間いっぱいに緑がむせ返るようにあって圧倒されます。都市のなかの人工建造物のなかでこんな緑と遭遇することで、つい忘れてしまっていた「自然」を思い出さされました。
ちょっとネタバレですが、この緑、横へ回ってみるとこうなっていました。
これを見たとき、私は軽いショックを覚えました。
前から見た限りは圧倒的なボリュームの緑に思えたのに、ほんとうは鉢植えが横倒しになっていたというところに、"大いなるもの"と思っていた自然のもろさ、危うさに気づかされた気がしたのです。これも、考えさせられる作品のように思います。
すぐれた現代アートには、「見て楽しむ」要素と「新しい価値観や世界観に目が開く」要素の両方があると思いますが、今回のヨコトリではご紹介したほかにも双方の条件を満たした作品が盛りだくさんです。
おすすめです!
はじめに結論的なことをいってしまいますと、私の感想は(あくまで私の、ですが)、 「規模は前回より小粒になったけれど、中身は面白かった」です。
前回は「タイム・クレヴァス」というテーマが掲げられ、何だかよくわからない小難しい議論が先行して戸惑いましたが、今回は違和感なくトリエンナーレに入っていけました。
さっそくご紹介しましょう。
ウィルフレド・プリエト 《One》
パッと見は一つの丸いオブジェのように見えますが、じつはこれ、↓

見た目はたしかに《One》ですが、実際は無数の粒の集合体......作品にはどんな意味が込められているのでしょうか? 粒は何かを象徴しているのでしょうか?
この粒つぶは模造ダイヤだそうですが、じつはこのなかに一つだけ本物のダイヤが混じっているそうです。一つの本物と、その他多くのイミテーション。
《One》というタイトルともども、いろんなことを考えさせる気がします。
トビアス・レーベルガー 《他者》
これらのランプ、横浜在住のある子どもの部屋の電灯スイッチとインターネットを介して連動するしくみになっています。ランプが点いているということは、いま子ども部屋の電灯は消えているということ。
この場所には不在の子どもの存在が「点灯」という現象によって示されます。
作品のタイトルは《他者》。作者は何をいいたいのか? ネットを介してというところが現代社会のありさまを象徴している気がします。
ミルチャ・カントル 《Tracking Happiness(幸せを追い求めて)》
白い服を着た女性たちが、白砂が敷き詰められた場所をほうきで掃きながら歩いているシーンが映し出されます。《Tracking Happiness(幸せを追い求めて)》というタイトルが付けられています。
タイトルからすると、彼女たちの営みは幸福を求める作業ということでしょうか。
しかし......

あとには自分自身の足跡が残ります。それをまた次の人が掃いていく......。
いくら掃いても足跡が消えることは永遠にありません。
《Tracking Happiness(幸せを追い求めて)》――。

ギャラリースペースへ入っていくと、空間いっぱいに緑がむせ返るようにあって圧倒されます。都市のなかの人工建造物のなかでこんな緑と遭遇することで、つい忘れてしまっていた「自然」を思い出さされました。
ちょっとネタバレですが、この緑、横へ回ってみるとこうなっていました。
ヘンリック・ホーカンソン 《倒れた森》
これを見たとき、私は軽いショックを覚えました。
前から見た限りは圧倒的なボリュームの緑に思えたのに、ほんとうは鉢植えが横倒しになっていたというところに、"大いなるもの"と思っていた自然のもろさ、危うさに気づかされた気がしたのです。これも、考えさせられる作品のように思います。
すぐれた現代アートには、「見て楽しむ」要素と「新しい価値観や世界観に目が開く」要素の両方があると思いますが、今回のヨコトリではご紹介したほかにも双方の条件を満たした作品が盛りだくさんです。
おすすめです!
<ヨコハマトリエンナーレ2011
OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知ることができるか?->
~2011年11月6日(日)
横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、その他周辺地域
http://www.yokohamatriennale.jp
OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知ることができるか?->
~2011年11月6日(日)
横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、その他周辺地域
http://www.yokohamatriennale.jp
横浜美術館
2011.08.31 | CULTURE
藤田令伊
アートライター
大手出版社編集者・雑誌編集長を経て、フリーランスに。アーティストや美術館側からの“川上型”の発信が多いアート情報のなか、鑑賞者の立ち位置を大切にしてアートとファンを橋渡しすべく活動中。その文章や話はわかりやすく、面白いと定評がある。著書『現代アート、超入門!』『フェルメール 静けさの謎を解く』(集英社新書)。