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3年に一度の現代アートの祭典!「ヨコハマトリエンナーレ2011OUR MAGIC HOUR -世界はどこまで知ることができるか?-」

2011.08.31

3年に一度の現代アートの祭典!
「ヨコハマトリエンナーレ2011
OUR MAGIC HOUR -世界はどこまで知ることができるか?-」

3年に1度の現代アートの祭典が、いま横浜で開催中です。世界を視野に入れたビッグイベントとして横浜市が力を入れているもので、今回が4回目となります。

はじめに結論的なことをいってしまいますと、私の感想は(あくまで私の、ですが)、 「規模は前回より小粒になったけれど、中身は面白かった」です。
前回は「タイム・クレヴァス」というテーマが掲げられ、何だかよくわからない小難しい議論が先行して戸惑いましたが、今回は違和感なくトリエンナーレに入っていけました。

さっそくご紹介しましょう。

DSCN2562 fujita0831.jpgウィルフレド・プリエト 《One》

これは、ウィルフレド・プリエトの《One》。
パッと見は一つの丸いオブジェのように見えますが、じつはこれ、↓

DSCN2563 fujita0831.jpg

小さな粒つぶの集まりなのです。
見た目はたしかに《One》ですが、実際は無数の粒の集合体......作品にはどんな意味が込められているのでしょうか? 粒は何かを象徴しているのでしょうか?

この粒つぶは模造ダイヤだそうですが、じつはこのなかに一つだけ本物のダイヤが混じっているそうです。一つの本物と、その他多くのイミテーション。
《One》というタイトルともども、いろんなことを考えさせる気がします。

DSCN2564 fujita0831.jpgトビアス・レーベルガー 《他者》

こちらは天井からランプがいっぱい吊り下がっている不思議なインスタレーション(何かのオブジェだけではなく空間全体を作品として体験するアート)です。
これらのランプ、横浜在住のある子どもの部屋の電灯スイッチとインターネットを介して連動するしくみになっています。ランプが点いているということは、いま子ども部屋の電灯は消えているということ。

この場所には不在の子どもの存在が「点灯」という現象によって示されます。
作品のタイトルは《他者》。作者は何をいいたいのか? ネットを介してというところが現代社会のありさまを象徴している気がします。

DSCN2575 fujita0831.jpgミルチャ・カントル 《Tracking Happiness(幸せを追い求めて)》

映像作品もあります。
白い服を着た女性たちが、白砂が敷き詰められた場所をほうきで掃きながら歩いているシーンが映し出されます。《Tracking Happiness(幸せを追い求めて)》というタイトルが付けられています。

タイトルからすると、彼女たちの営みは幸福を求める作業ということでしょうか。
しかし......

DSCN2576 fujita0831.jpg

彼女らは前の人がつけた足跡を掃いて、きれいにしていきますが、
あとには自分自身の足跡が残ります。それをまた次の人が掃いていく......。
いくら掃いても足跡が消えることは永遠にありません。
《Tracking Happiness(幸せを追い求めて)》――。

DSCN2583 fujita0831.jpg

こちらは日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)会場の作品です。
ギャラリースペースへ入っていくと、空間いっぱいに緑がむせ返るようにあって圧倒されます。都市のなかの人工建造物のなかでこんな緑と遭遇することで、つい忘れてしまっていた「自然」を思い出さされました。

ちょっとネタバレですが、この緑、横へ回ってみるとこうなっていました。

DSCN2585 fujita0831.jpgヘンリック・ホーカンソン 《倒れた森》

大きな鉢植えが横倒しになっていたのです。
これを見たとき、私は軽いショックを覚えました。
前から見た限りは圧倒的なボリュームの緑に思えたのに、ほんとうは鉢植えが横倒しになっていたというところに、"大いなるもの"と思っていた自然のもろさ、危うさに気づかされた気がしたのです。これも、考えさせられる作品のように思います。


すぐれた現代アートには、「見て楽しむ」要素と「新しい価値観や世界観に目が開く」要素の両方があると思いますが、今回のヨコトリではご紹介したほかにも双方の条件を満たした作品が盛りだくさんです。

おすすめです!

<ヨコハマトリエンナーレ2011
OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知ることができるか?->

~2011年11月6日(日)
横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、その他周辺地域
http://www.yokohamatriennale.jp

DSCN2560 fujita0831.jpg横浜美術館

3年に1度の大規模な現代アートの国祭展です。今回は横浜美術館がメイン会場のひとつとなりました。主催者が「楽しんでいただくことを目指す」と語っているとおり、まずは理屈抜きに楽しめる内容が準備されました。身構えることなく気軽に行ってみてはどうでしょうか。

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2011.08.31  |  CULTURE
COLUMNIST

藤田令伊

アートライター

大手出版社編集者・雑誌編集長を経て、フリーランスに。アーティストや美術館側からの“川上型”の発信が多いアート情報のなか、鑑賞者の立ち位置を大切にしてアートとファンを橋渡しすべく活動中。その文章や話はわかりやすく、面白いと定評がある。著書『現代アート、超入門!』『フェルメール 静けさの謎を解く』(集英社新書)。

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