2011.11.21
空気の色を胸もとに。
吉行良平さんの「sashiiro」
「もうすぐ完成です」。そう言って、デザイナーの吉行良平さんが試作品を見せてくれたのは9月、大阪の「DESIGNEAST 02」の会場で......。
白いシャツの胸元に美しいアクリルのピンが輝いていました。わあ、きれいな色だなあ!と気になりました。
発売を楽しみに待っていた吉行さんの新作プロダクト。10月、「DESIGNTIDE TOKYO 2011」のマーケットで、完成品を購入することができました。注目したい若手デザイナーとプラスチックのプロダクトを開発している「mass item」のアイテムです。
「メモをはりつけていくように、いろいろのアクリルの破片をピンとともにおしつぶす。 光さす美しいピンができた。服に、部屋に、生活の中に光の色がさす」
「mass item」はアクリル樹脂を専門とする益基樹脂が立ち上げたプロダクトブランド。高い技術力が必要とされるアクリル製造の現場で腕を磨いている若い職人さんとの二人三脚で、開発が進められてきたものです。
「アクリルの色の豊富さには驚かされました。それらの色をどう表現するか、素材の特色をふまえてどう造形するか、試行錯誤の連続でした......アクリルという素材は実は手ごわいんです。職人さんと意見をぶつけあいつつ、楽しみながら実験を繰り返しました」
「まずは、家を"観察"したんです。壁には友人からのハガキや大切な写真、思い出のチケット、メモなどを、プラスチックの画ビョウでとめている。壁そのものが "豊かな色をさしている" 、と思いました。そこで、色とりどりのアクリルのサンプルピースをメモのように壁に貼っていったところ、空気の色が変わったように思いました」
そのつどデータをとりながらの実験の繰り返し。「それ自体が何枚ものメモをはりつけていくような行為でした」、と語ってくれました。
アクリルは光を内部に留めるように輝きを放ちますが、そうした表情が際だつフォルムが検討されていることがわかります。ピンは4種。春、夏、秋、冬......。
こうして、思い描いた「壁の画ビョウ」は、「服、空間に自由にさせるピン」に。
チームをくんだ若い職人やスタッフとの試行錯誤のうえ、重なる3色のアクリルが生み出す色は、アクリルの色そのもの。3色の重なり方はひとつひとつ異なり、「美しさをコントロールしながらも、色もかたちも同じものは二つとできない」のが特色です。
吉行さんは他に、色が大切な要素のひとつとなるテーブルを完成させたばかり。「色を扱うプロジェクトを同時に進められたことに、どこか運命的な出会いも感じている」とか。
素材にむきあう若手デザイナー。mass itemの今後はもちろん、アクリルという素材に出会った吉行さんの今後にも注目を。
「mass item」オンラインショップ
http://massitem.com/index.html
吉行良平/吉行良平と仕事
http://www.ry-to-job.com/
白いシャツの胸元に美しいアクリルのピンが輝いていました。わあ、きれいな色だなあ!と気になりました。
発売を楽しみに待っていた吉行さんの新作プロダクト。10月、「DESIGNTIDE TOKYO 2011」のマーケットで、完成品を購入することができました。注目したい若手デザイナーとプラスチックのプロダクトを開発している「mass item」のアイテムです。
Photos: Yuji Shiraki, © mass item, "mass item" director: Shunsuke Umiyama
「メモをはりつけていくように、いろいろのアクリルの破片をピンとともにおしつぶす。 光さす美しいピンができた。服に、部屋に、生活の中に光の色がさす」
「mass item」はアクリル樹脂を専門とする益基樹脂が立ち上げたプロダクトブランド。高い技術力が必要とされるアクリル製造の現場で腕を磨いている若い職人さんとの二人三脚で、開発が進められてきたものです。
「アクリルの色の豊富さには驚かされました。それらの色をどう表現するか、素材の特色をふまえてどう造形するか、試行錯誤の連続でした......アクリルという素材は実は手ごわいんです。職人さんと意見をぶつけあいつつ、楽しみながら実験を繰り返しました」

透明度と強度を持ち備えたアクリルを美しい色で表現。留め具は外れにくいタイタック式。¥3,150
「まずは、家を"観察"したんです。壁には友人からのハガキや大切な写真、思い出のチケット、メモなどを、プラスチックの画ビョウでとめている。壁そのものが "豊かな色をさしている" 、と思いました。そこで、色とりどりのアクリルのサンプルピースをメモのように壁に貼っていったところ、空気の色が変わったように思いました」
そのつどデータをとりながらの実験の繰り返し。「それ自体が何枚ものメモをはりつけていくような行為でした」、と語ってくれました。
アクリルは光を内部に留めるように輝きを放ちますが、そうした表情が際だつフォルムが検討されていることがわかります。ピンは4種。春、夏、秋、冬......。
4種類のピンを順に紹介します。「haru」から。
「natsu」
こうして、思い描いた「壁の画ビョウ」は、「服、空間に自由にさせるピン」に。
チームをくんだ若い職人やスタッフとの試行錯誤のうえ、重なる3色のアクリルが生み出す色は、アクリルの色そのもの。3色の重なり方はひとつひとつ異なり、「美しさをコントロールしながらも、色もかたちも同じものは二つとできない」のが特色です。
「aki」
「fuyu」
吉行さんは他に、色が大切な要素のひとつとなるテーブルを完成させたばかり。「色を扱うプロジェクトを同時に進められたことに、どこか運命的な出会いも感じている」とか。
素材にむきあう若手デザイナー。mass itemの今後はもちろん、アクリルという素材に出会った吉行さんの今後にも注目を。
他企業とのプロジェクトから。家具の新レーベル「sea-saw」より発表されたばかりのテーブル「knotted」。天板に組み合わせられた色がポイントです。Photo: Naoya Fujimoto © Laugh Co., ltd. All Rights Reserved.
「mass item」オンラインショップ
http://massitem.com/index.html
吉行良平/吉行良平と仕事
http://www.ry-to-job.com/
2011.11.21 | CULTURE
川上典李子
ジャーナリスト
Noriko Kawakami, journalist
デザイン誌『AXIS』編集部を経て、94年独立。ドムスデザインアカデミーリサーチセンターの日伊プロジェクトへの参加(1994-1996年)を始め、デザインリサーチにも関わる。現在は、「21_21 DESIGN SIGHT」のアソシエイトディレクターとしても活動。主な著書に『Realising Design』(TOTO出版)など。