2009.09.24
スズキユウリ、木村匡孝の、
Breakfast Machine(朝食マシン)
私たちは1日の扉を朝食とともに開いています。「はじまり」を意味する、朝食。
Breakfastという言葉は、希望の響きに包まれています。
このコラムでもChristophe Coppens(クリストフ・コパンス)の展覧会の際に紹介したアムステルダムのPlatform21(プラットフォーム・トウェンティワン)で、「朝食」に関連する、あるプロジェクトが行われています。
photo (C)Yuri Suzuki
プロジェクトのために収集された品々は、それだけでも圧巻。ちなみに今回のプロジェクト名は「Platform21 = Jamming」。ジャミング、なのです。
「Hacking IKEA(ハッキング・イケア)」や「Reparing(リペアリング)」プロジェクトなど、周囲をいつもとは異なる角度で目にすることの大切さを教えてくれ、周囲に潜みながらも普段は見えない大切な価値を考える機会を活発につくっているPlatform21。
大胆不敵な企画にハッと気づかされることも多く、「なるほど......そんな考え方があるんだ!」と、彼らの前向きな姿勢に、私自身、勇気をもらうこともしばしば。
そうした彼らが、次なる構想に向けて、現在の活動拠点をまずはクローズすることに。記念すべきクロージング・プロジェクトに、日本人デザイナーのYuri Suzuki(スズキユウリ)、アーティストのMasa Kimura(木村匡孝)の2名が招かれたのでした。
photo (C) Johannes Abeling
会場でのスズキさん(左)と木村さん。全体の動きを確認しながらの制作でもあるだけに、真剣。このコーナー、背後の黒板の文字によると「トースターマシーン」。洗濯バサミではさんだパンが動いていくようです。
動きを伴う立体表現で、他に類を見ない才能を発揮しているスズキさんは、今春のミラノサローネの際にも、Design Miami(デザイン・マイアミ)がFENDIとのコラボレーションで開催した「Craft Punk(クラフトパンク)」で大活躍。「メンフィス・テネシー」の曲にあわせて様々なオブジェが動きを見せる、立体ミュージックビデオともいうべき作品で、来場者を驚かせました。
そして、今回の「Platform21=Jamming」。「朝食マシン」に挑戦です。
「朝食のシーンは何とも象徴的。古今東西、様々な映画にも登場していますよね。ウォレスとグルミットしかり......」とスズキさん。朝食をつくるマシンをPlatform21の空間いっぱいにつくってしまうという大胆な発想を、実行に移してしまいました。
しかも、Platform21のこれまでの活動の一部を作品にとり込みながら、9月16日からの8日間は来場者も制作に参加可能、というもの。いつもながらの切れ味抜群の構想を聞いた私は、すぐにでもアムステルダム行きの飛行機にとび乗りたい気持ちです。
photo (C) Yuri Suzuki(続く写真もすべて)
圧倒されるばかりの「物の山」から素材を"発掘"し、思い思いに作業中。巨大なマシンをつくりあげていく......なんて力強いものづくりのプロセス!
「アムステルダムに到着。これから作業が始まります」。
スズキさんからのメールが届いた9月10日から、10日が経過......。まさに作業は佳境、制作に没頭中の彼が、会場の最新状況を送ってくれました。多種多様な品々の山から、巨大なマシンがつくられていく様子がうかがえます。
9月25日と26日には完成したマシンを動かし、「終日、朝食をふるまう」イベントも予定されているのだとか!
巨大なマシンが徐々にできあがっていく様子がうかがえます。「エッグ・クッキングマシーン」、「コーヒーマシーン」の文字も。え、たまご料理は鳥かごから始まるの?!
手を動かす時間を共にすること。「はじまり」の心を共にすること。Platform21らしいエネルギッシュなエンディングは、続く数日も大いに盛り上がることでしょう。
残念なことに、今週、東京を離れられない私は、いつも以上に心を込めて朝食をつくりながら、Platform21を満たしている彼らの情熱に、思いを巡らせることにします。
マシン全体のダイナミックな動きのなかで、パンが焼かれ、紅茶も用意され......。
Platform21の詳細 http://www.platform21.nl/page/5722/en
スズキユウリさんの詳細は http://www.yurisuzuki.com/
At Platform21 in Amsterdam, a unique project has started. This project is the last in Platform21's current space and they invited a young Japanese designer, Yuri Suzuki and a young Japanese artist, Masa Kimura. They decided to make huge breakfast machine inside that space reusing the remnants of previous Platfrom21 projects.
This "Platform21=Jamming" project intrigues me very much because Yuri and Masa selected "breakfast" which conveys "something starting" for their final project in that space. From the16 to the 24 September, Yuri, Masa and Platform21 asked visitors to join forces and build that breakfast machine.
And from the 25 to the 26 September, they will serve all day breakfast !
text by Noriko Kawakami
http://www.platform21.nl/page/5722/en
Also, please check
http://www.yurisuzuki.com/
川上典李子
ジャーナリスト
Noriko Kawakami, journalist
デザイン誌『AXIS』編集部を経て、94年独立。ドムスデザインアカデミーリサーチセンターの日伊プロジェクトへの参加(1994-1996年)を始め、デザインリサーチにも関わる。現在は、「21_21 DESIGN SIGHT」のアソシエイトディレクターとしても活動。主な著書に『Realising Design』(TOTO出版)など。