2009.03.19
開発5年! 新製品とともに
ジェームズ・ダイソン来日
「ダイソンに会った。といっても記者会見で、だけどね」。ロンドンにいるデザイナーの友人にメールを送ったところ、すぐに返信が。「ジェームズに、東京で?! いいなあ、いいなあ」。彼女はジェームズ・ダイソンの大ファン。彼の活動に刺激を受けている。
これまで以上にコンパクトになったdysonの掃除機、「DC26」の発表会。ジェームズ・ダイソン自ら、製品のプレゼンテーションを行ってくれた。
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テレビ広告にも登場している、Sir(サー)ジェームズ・ダイソン。様々なデータを投影しながら、「小型化」と機能の両立を説明してくれました。新製品の一部を彩るブルーとジェームズのベルトの色がお揃いであることにも注目! 新製品を披露するジェームズはいつも楽しそうで嬉しそうで、ものづくりを満喫する人ならではのオーラに包まれています。
「dyson」の誕生は1978年に遡る。「エンジニア」としての才能あふれるジェームズは、当時31歳。遠心力でホコリの微粒子をとり除き、紙パックを使わないまったく新しい掃除機を考えついた。さらに5年の月日を費やして、記念すべきdyson製品第1号が完成。その後も「掃除機」ひとすじに、吸引力、集塵力を研究し続けている。
おもしろいのは、英国に本社のあるdyson社には「デザイナー」がいないということ。
機能や性能をふまえ、製品を最終的なかたちにまとめあげるエンジニアによって製品がつくられている。そしてジェームズ本人も、今も開発の現場に立つ。
記者会見の会場でも、試作品の紹介や、すべての部品を分解した紹介がされていた。これは、完成品に自信がなければできないこと......。自分たちの仕事に誇りを持っている、とも言うことができるだろう。
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新製品を生み出すにあたり制作された試作モデルや部品類。すべてを紹介しましょう、という潔さ。「小さいからといって機能を低下させては全く意味がないと決意しました」。「小型化とは単に小さくすることではありません。小型化をはかりながら性能を高めることができるのです。ソニーのウォークマンのようにね!」。もちろん、本体サイズだけではありません。クリーナーヘッドなどもより使いやすいように工夫が。
でも、肝心なところは、もちろん企業秘密!
「小型化を実現するにあたり、新素材を使っていたりするのですか?」
記者団の突っ込みには、「probably(たぶん)」。クールに笑顔でかわすジェームズ。
いろいろと知りたいポイントには、「守秘義務の書類に署名のうえ、わが社で開発に関われば、わかりますよ」......!
「A4サイズの用紙に乗るほどの大きさ」とジェームズが両手で持ち上げ見せてくれたDC26、資料によると「dysonのテストチームによって750の過酷な耐久テストを実施し、製品を改良しました」とある。
説得力あふれる数字はさらに続く。「硬い床に5,318回落とし、クリーナーヘッドを鉄製の壁に10,000回たたきつけました」。そして、「48名のエンジニアが5年の月日を費やし、DC26を完成させました」。
しっかりとカメラ目線をくださる、やさしい英国ジェントルマン。
記者会見のなかで、印象的だった言葉もいくつか。
「わが社に入った社員はまず、自分で製品を分解して組み立てる作業から始めます」。
ジェームズはよく、「手」を使うことの大切を口にする。
「企業として、エンジニアリングの大切さを子どもたちに教えていきたいと思うのです。エンジニアとは科学者でもあり、デザイナーでもあるということを」。
彼はこうも言っていた。「美しくても効率のよくない製品よりも、見かけがよくなくとも効率のよい製品をつくりたいと思うのです」。
独自のその姿に対して、様々な感想が寄せられているからだろうか。でも、美しいかどうかは、ひとりひとりが判断すること。エンジニアが結集し、かつてなかった究極の(しっかり働く)掃除機を求め続けるなかから導きだされるその姿、私は「プロダクトの新しい美を見せてくれた」と感じている。
メカ好きチームが生み出す掃除機。とても道具らしくて、その潔さもまた美しい。
「このブルー、きれいでしょう?! うすいブルーにラッカーをかけたんです。テクノロジーのハイライト部分をブルーにしてみました」とジェームズ。サイクロンテクノロジーの開発から30年、さらに進化を遂げるサイクロンとともに、エンジニアの美意識が満載です。「DC26」の販売は4月10日からだそう。春ですね。お掃除しましょう!
ダイソンについて知りたい人は
http://www.dyson.co.jp
川上典李子
ジャーナリスト
Noriko Kawakami, journalist
デザイン誌『AXIS』編集部を経て、94年独立。ドムスデザインアカデミーリサーチセンターの日伊プロジェクトへの参加(1994-1996年)を始め、デザインリサーチにも関わる。現在は、「21_21 DESIGN SIGHT」のアソシエイトディレクターとしても活動。主な著書に『Realising Design』(TOTO出版)など。