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クリスマスムードのオランダで、イネケ・ハンスのスタジオ訪問

2008.12.16

クリスマスムードのオランダで、
イネケ・ハンスのスタジオ訪問

再び、成田発、デザインリサーチの旅に出た。
今年最後の出張(となるはずなのですが......)はオランダ。アムステルダム、ロッテルダム、アイントホーヘン、アーネム、ユトレヒト......デザイナーやアーティスト、デザインアカデミーの関係者などにお会いした。

馬に乗った聖人シンタクロースが子どもたちにプレゼントをあげに来るという、12月5日、「シンタクロースの日」。この日、私が向かったのは、アムステルダムの南東に位置する美しい街、アーネムだ。

この街でお会いできたすてきな方々のひとりが、デザイナーのイネケ・ハンス。
彼女はこの街のアカデミーで立体デザインを学んだ後、ロンドンにあるデザインスクール、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで家具デザインを修めている。

kawakami0.jpgフランスのデザイン誌の表紙を飾った彼女。2006年の号。

「オランダの現代デザインは1993年、ドローグが誕生して、ミラノサローネで一躍脚光を集めたことが大きなきっかけとしてあるわね。私はちょうどその年にロンドンの学校に入っているから、ドローグには参加していなかったの。でも、それも悪くはなかったわ。私らしい仕事の仕方をしていこうと心に決めたの」
ランチをとっていたレストランに、真っ赤な「バス」で迎えにきてくれたイネケが言う。

kawakami1.jpg冬空の街に映える真っ赤なバスと、真っ赤なコート姿のイネケ。普段は8歳の息子を真ん中にパートナーと3人並んで座席に座るそう。このバス、大活躍しているはず......。

kawakami2.jpgどこかほのぼのとした空気が心地よいイネケのスタジオ。

ハンドルを握る彼女の横に座らせてもらって、スタジオへ。通りの角にある建物にはピンク色の彼女のロゴマーク。ポップな郵便局?!......そんな雰囲気でもある。
各フロアの面積は限られているけれど、地下から2階まで、3フロアを彼女とスタッフたちはフルに活用しているようだ。

kawakami3.jpg彼女の代表作から、BLACK GOLD MODULAR PORCELAIN。ざらりとした手ざわりが独得の表情をかもしだす。詳細はこちら

kawakami4.jpg右はエスター・ムニョス・グルートヴェルド(Premsela)さん。明るい2人と楽しい時間を過ごしました。

日本でも販売されているオランダのキッチンツール・ブランド「Royal vkb」のためにデザインしたキッチンツールについても、改めて説明してもらう。ボウル&スプーンやナッツクラッカーなどが並べられたテーブルで、彼女はガーリック・クラッシャーを手に、デザインのポイントを説明してくれた。

kawakami5.jpgガーリック・クラッシャー。パッケージの写真ではイネケが登場して使い方を説明。

「パートナーが料理好きだから、私は後かたづけを担当することが多いのね。使いやすいことはもちろん、使った道具を洗うときのことも考えてデザインしたのよ。ガーリックの匂いが残らないよう、素材も吟味したわ......。
日本でも料理をガーリックに使うわよね。これ、持ち帰って使ってみてね」
(嬉しい!)彼女の日常の経験が凝縮されたデザイン。ガーリックに限らず、様々な食材に使えそうだ。
「そうそう、これはカードサイズのカトラリーセットなの。ぜひ使ってみて!」

kawakami6.jpgニューヨークの美術館のためにデザインしたクレジットカード・サイズのカトラリーも。

kawakami7.jpgスタジオ風景。来年初めに催されるある家具見本市では、名誉デザイナーに選ばれたそう。スタジオではその準備も。

kawakami8.jpgデザイナーのスタジオでは彼らの「コレクション」が目にできることが多い。イネケが壁に飾っていたものは、どれも鮮やか。

「もう少し時間はあるわよね?! ...... ぜひとも見せたい場所があるの」
「まだシンタクロースを信じている息子のために、今日は早く帰らないといけないのだけど......」と笑いながら、案内したいもうひとつの場所があるというのだ。

それは、スタジオ近くのビルに設けた、彼女の「ワークショップ」(工房)。デザイナーが自身のアイデアを立体化し、検討を重ねる作業の現場。今回の滞在中に訪ねたデザイナーのスタジオには、それぞれのワークショップがあった。

工具を手にとり、素材や工法を試み、柔軟な思想で、ときに大胆な「実験」も惜しむことなく、満足いくものづくりに没頭している。ワークショップは彼女にとって楽しい工作の時間のような感じなのだろうか。それとも実験室という感じなのだろうか。

カラフルでチャーミングなファッションに身を包み、ハート模様の家具を生み出す。ハードな工具がずらりと並んだ、硬派なワークショップで腕をふるう。そのどちらもイネケ・ハンス。だからおもしろい。
キッチンツールから家具に至る大小さまざまなものにおいて、彼女でないとできないデザインに取り組んでいる。

kawakami9.jpgこちらはワークショップ。

kawakami10.jpgワークショップ。

ところで、今回私が滞在していたのは、アムステルダムのLloyd Hotel(ロイドホテル)だ。1920年代につくられた建物を、表参道GYREの建築設計も手がけているオランダの気鋭建築事務所MVRDVが改装、話題のダッチデザイナーたちがインテリアデザインに参加し、すべての部屋が異なるというユニークなデザインホテルだが、ここにもイネケの家具が多く置かれている。そのひとつも紹介しておこう。

kawakami11.jpgロイドホテルのエントランス。歴史ある建物にコンテンポラリーデザインの空気が巧みに加えられている。

手を使い、工具を操り、あれこれと考えながら、力強く前へと進んでいる。
私たちの毎日に、新たな空気を運ぶことのできるデザインを探っている。
そうしたオランダのデザイナーたちの個性とエネルギーをじかに感じ、気温1度〜5度の寒さもなんのその、往路よりさらに元気に、とてもハッピーになって、飛行機の座席でいま、この原稿を書いているところです(12月7日)
さて、この続きはまた......。

kawakami12.jpgカッペリーニから発表されたイネケ・デザインの椅子に座らせてもらう。独得の触感に加えて、とにかく軽い。素材の研究が結実した一脚です。詳細はこちら


・イネケについて知りたい人は
http://www.inekehans.com/ 

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