2009.05.16
カンヌ・レポート第3回
「監督週間」オープニングにF・F・コッポラ登場!
5月14日。オフィシャル・セクションから1日遅れて、並行して行われる「監督週間」がオープニングを迎えました。作品は、フランシス・フォード・コッポラの『テトロ』。ヴィンセント・ギャロ主演でアルゼンチンで全編撮影された作品です。
カンヌ映画祭側は、当初、この作品を「招待作」として上映することを打診していましたが、コンペティション部門を希望するコッポラ側との意見が合わず、結局、コッポラは、監督としてのクリエーションを尊重する「監督週間」のオープニング作品としての上映にシフトしました。
挨拶するコッポラ。
長いブランクを経て、前作『コッポラの胡蝶の夢』(06年)で、大作から初期の頃のようなインディペント魂溢れる小作品に原点帰りを果たした巨匠。この『テトロ』も、脚本、プロデュース、監督を自ら務めた小さめの作品で、『ランブルフィッシュ』(83年)から『ペギー・スーの結婚』(86年)あたりの匂いを感じさせる愛すべき作品です(ちなみに、コッポラのデビューは1963年)。
「監督週間」の今年のポスターと『テトロ』のポスター。
上映後のパーティで、久々に主演としてスクリーンにカムバックしたヴィンセント・ギャロに挨拶。元々菜食主義者ではあったのですが、最近は、朝10㎞ほどのジョギングをしているというギャロは、かつてないほど健康的で"いいひと"に大きく方向転換。これももコッポラ効果でしょうか?
ビーチ沿いで行われた「監督週間」のオープニング・パーティ。
また、「監督週間」のオープニング・セレモニーでは、2002年から設けられた「キャロッス・ドール」賞の受賞式が行われました。これは、「監督週間」出身で映画界で活躍、貢献している監督に贈られる栄誉賞で、今年は、日本の河瀬直美が受賞しました。長編監督デビュー作『萌の朱雀』が、「監督週間」に選出され、「カメラドール」(新人監督賞)を受賞した河瀬ですが、この賞の受賞は、女性としても、アジア人としても初めてとなります。
ハリウッドの資金調達力がパワーダウンしている今、お金の力ではなく、クリエイティブな力を重視する「監督週間」のようなセクションにこそ、期待したいものです。
立田敦子
映画ジャーナリスト
大学時代から始めたライター&エディター業を開始、徐々に映画ジャーナリストの道へ。映画祭や海外出張などでインタビューする映画人は、年間200人ほど。フィガロジャポンやキネマ旬報等に映画評、コラム、インタビューなどを執筆。