2010.01.14
L. S. ラウリー/私の好きなイギリス人アーティスト/その1
A happy new year!
随分と遅れてしまいましたが、皆さん明けましておめでとうございます!
今年このコラムでは、私の好きなイギリス人アーティストを少しずつご紹介して行こうと思っています。シリーズ第一弾は、画家のL.S. Lowry(1887-1976)。
日本ではあまり知られていないアーティストなのですが、イギリス北部の、特にマンチェスター周辺の工業都市の風景とそこに住む人々を描く画家として、ここイギリスではとてもよく知れ渡っています。
( A Manufacturing town, 1922)
工場の煙突から煙がモクモクと出ていて、ちょっと暗い色使い。人々の様子も、わざと楽しく生き生き描いたりはせず、生活する人々をありのままに描写していて、少し寂しげな印象。
(The Tree, 1931)
でもミニチュアモデルの様な建物達、小さくたくさん描かれた人々がなんだかかわいらしくもある。寒くて前のめりに歩く人々の様子や、走ったり話したり、集団で群れていたりする様子がすごくうまく描かれていて、細かい所に目が行き始めると、見ていて飽きない。私の好きな掲示板の絵。
(The Notice Board,1971)
マンチェスターのロックバンドOasisは"The Masterplan"のミュージックビデオで、ラウリーへのトリビュートとして彼の絵の世界そのままをアニメーションで表現しています。見た事がある方いるんじゃないでしょうか。
これがアニメーションで使われている遊園地で

こちらがラウリーの実際の絵
(Good Friday, Daisy Nook, 1946)
私も実は数年前まで彼については何も知らなかったのですが、人々が小さく、そしてたくさん描き込まれた私の風景画を見たイギリス人の友人にラウリーの事を教わったのがきっかけで、私もラウリーの世界に段々惹かれてくる、、!
1976年ラウリーの死の直後にロンドンのロイヤル・アカデミー美術館で開催された回顧展の図録。古本屋で2ポンドでみつけました。

彼のポストカードはW.H.Smithなどのチェーン書店ですぐに買えるし、

彼の絵はイギリスの偉大なアーティストとして郵便切手にもなったし、この作品は1964年に英国ハロルド・ウィルソン首相のクリスマスカードとして使われたそうだし
(The Pond,1950)
テート美術館も彼の絵を20点以上所有していると言うし、その知名度はとっても高い。そして何より収集家にも大人気。
"Going to the match"というこちらの絵は、ボルトンチームの競技場に吸い込まれるように向かって行くサッカーファンを描いた1953年の作品ですが、1999年にサザビーズでProfessional Footballers' Associationによって落札された価格はなんと190万ポンドで、当時現代イギリス絵画としては最高値。(当時のレートで3億円以上)

不動産会社で家賃集金人として街のあちこちに出向く合間、立ち止まっては人々をスケッチし、夜家に帰ってから夜中まで絵の制作に励むという生活を50代まで続けたという、相当の努力家。なので、どの風景も実際にあるものではなく、家の一室で、彼の想像によって構成されたシーンだそう。生涯描いたペインティングは1000点以上というすごい数です。
地方のギャラリーなど、イギリスの色々なところで今後もその出会いが楽しみな、ラウリーの絵。マンチェスターにあるThe Lowry(www.thelowry.com)という市立美術館にもぜひぜひ行ってみたいです!
せきなつこ
イラストレーター
慶応義塾大学卒業後に渡英。2005年ブライトン大学イラスト科を修了。アンティークの本、雑誌、手紙、楽譜などの紙素材に、自らの写真、ドローイングをコラージュし、シティスケープを描く。最近はルイヴィトンジャパンのブック、松屋銀座のポスターのイラスト等を手がける。2008年4月にはギャラリーロケットにて初個展を開催。