2008.11.10
イギリスの子供達ってどんなモノを作るのでしょう?
イギリスの小中学校では、10月の半ばからハーフタームと呼ばれる中休みが1週間あります。この期間中は平日はどこへ行っても、子供達がいっぱい。ロンドンの美術館・博物館では、この時期に合わせて子供がアート体験をするイベントが催されます。私はテート美術館より依頼されてアニメーションのワークショップを開催しました。さてイギリスの子供がどんなモノを作るのか、今日はそれをご紹介です!
オーストリアのドキュメンタリー映画祭出品作品より、子供向けにショートフィルム、ショートアニメが数本選ばれて、テートに送られてきました。私はそのフィルム&アニメを子供達に見せてから、実際に彼らに「絵を動かす」体験をしてもらうことにしました。アニメーションの基礎の基礎という感じ。「絵を描く」だけでなく、「その絵を動かす」ことによって、子供達の表現の幅が広がるきっかけになってほしいと思いました。
実際にどういった絵の動かし方があるのか、簡単な例を用意しておいて、見せてあげます。一緒にプレゼンと制作を手伝ってくれたのはアニメーション作家の吉田舞さん、絵本編集者のマヤ・ガートナーさん、彫刻家の松永直くん(右が筆者)。
ジンジャーブレッドマンの目が動く仕組みや、建物の窓から階段を上がって行く人が見える様子、波を動かして海を表現したり、人物は固定させて巨大に描いた背景だけを動かす方法、カメラのアングルを変える事によって、違った表現ができる事などなど、張り切ってデモンストレーションをしました。
ジンジャーブレッドマンは好評で、皆熱心に聞いています!その後、子供達に何を描くかを決めてもらい、そして彼らが、一体どうやってそのキャラ、もしくは背景を動かすのかを一緒に考えました。すぐに手を動かし始める子もいれば、親に相談し始める子。考え込んでしまう子もいましたが、楽しい制作が始まると皆勢いよく没頭。
同伴の親も集中していますね。
みんなの進み具合を見てまわり、あれこれ提案なんかしながら、一時間の制作時間はあっと言う間。
一日目、二日目は元気いっぱいの8−10歳児が対象で、全部紹介しきれないのがとっても残念(!)ですが、溢れる才能の一部をここにご紹介。
この子はトラクターを作り、様々なアイテムを用意して運んでいました。
こちらは立派な3D。飛行機で建物の中の人を助けだす様子を演出してお見事。
人参を追いかけるウサギは、独特の出っ歯がかわいかった。
星型の目をした星君はハッピーで、ハート目のハート君は怒り顔。とてもキャッチーでキュートなんです。
大きなリンゴから毛虫が顔を出す仕組みはスケールの表現が上手。
そしてサッカーの試合を見せてくれた少年。
みんな素敵な色彩感覚を持っていますね。日本人と違ったパレットを持っている様です。市販の色画用紙の色の違いもあるのでしょうか。
3日目は12−14歳児が対象で、少し上級編。ちょっと長くなりすぎるので省略ですが、最近の子供は学校でカメラ付きでアニメーション制作を習ったりすると聞いて、驚きました。
大人の制作も多かれ少なかれそうなのですが、子供ってやはり手が先に動き始めます。作りながら色々な方向に発展して行き、思いがけないものがたくさん産まれましたが、そのプロセスを見るのがとっても楽しかった!動かし方については積極的に質問してきますが、実際の制作は親や私たちの手を借りずにすっかり自分色に染めて行くのがすごいです。子供からは学ぶ事が多い!
美術館の活動って多岐に渡るもので、テートではこの他にも色々なワークショップをしています。次回は私の友人が参加したこれまたとっても楽しいプロジェクトをご紹介します!
せきなつこ
イラストレーター
慶応義塾大学卒業後に渡英。2005年ブライトン大学イラスト科を修了。アンティークの本、雑誌、手紙、楽譜などの紙素材に、自らの写真、ドローイングをコラージュし、シティスケープを描く。最近はルイヴィトンジャパンのブック、松屋銀座のポスターのイラスト等を手がける。2008年4月にはギャラリーロケットにて初個展を開催。