2009.12.18
DVD : ALL TOMORROW PARTIES
冬休みをのんびり自宅で過ごす人にオススメのミュージックDVDをご紹介します。海外のフェスティバルを取り上げた映画やDVDはいくつかありますが、『オール・トゥモローズ・パーティーズ』は、毎回1アーティスト/グループがキュレーターとして出演者のラインナップを選出するという、ユニークなスタイルで展開しているイギリスのフェス《ALL TOMORROW PARTIES》を題材にしています。しかも、スポンサーとしての大手企業の介入をシャットアウトし、自主性を重んじたフェスティバルとして開催、既存のフェスと一線を画すものとして知られています。
観客に囲まれたグリズリー・ベア。会場内のどこにでも音楽が溢れている感じ。
ベル・アンド・セバスチャンと、その後ATPの主宰者となったバリー・ホーガンが1999年に始めた《Bowlie Weekender》が基盤となり、2000年の第1回目《ALL TOMORROW PARTIES》は、モグワイをキュレーターに迎えて英南東部Camber Sandsのリゾート施設で開催。そもそもバリー・ホーガンが、「そのアーティストのレコードコレクションをステージに並べるような感覚でフェスをやりたい」と、ユニークなレコードを持っているミュージシャンに声をかけて立ち上げたフェスだそうです。そのアイデアに対し、サーストン・ムーア(ソニック・ユース)は、「究極のミックステープのようだ」と、賞賛しています。
以降、2001年はトータス、2002年はシェラック、2003年はオウテカ......とフェスのラインナップを決めるキュレーターが替わり、2004年からは年内の開催回数が増え、冬にも行なわれるなど、規模も大きくなっていきます。また、ATPism("All Tomorrow's Parties"ism)と呼ばれるオルタナ精神は海外でも高く評価され、その後、アメリカやオーストラリアでも同様のフェスが開催されるようになっています。
DIY精神溢れるフェスだからこそ、ヤー・ヤー・ヤーズのカレンOのパフォーマンスもリミットを感じさせない弾けぶり。
自主性を重んじたフェスならではのDIY精神はもちろんのこと、制約のない自由な空気の中で、昼夜問わず音楽を浴び続けられるオーディエンスやミュージシャンの至福の表情がDVDには収録されしています。しかもライヴ映像はもちろん、ミュージシャンのオフショットなどが、オーディエンスがモバイルカメラなどで気軽に撮影したレアなものまで含めて収められ、まるで自分もその会場に居るかのような錯覚に陥るほど。主な映像は2007年以降のものですが、1999年の初期の映像なども観ることができます。
フィルムの編集も、ライヴステージと観客を二画面で映し出したものから、モンタージュ的な意味合いを含んだカットの連続まで、アーティスティックに行なわれていて、フェスのDVDとは思えないほどのセンスの良さを感じさせます。
フェスの女王といえば、何歳になっても圧倒的な存在感を放つパティ・スミス。
今年で開催から10周年を迎えたオルタナティヴ・ミュージックの祭典"オール・トゥモロ-ズ・パーティーズ"初の映像とあって、収録されているミュージシャンは、ソニック・ユース、バトルズ、ポーティスヘッド、ライトニング・ボルト、グリズリー・ベア、アニマル・コレクティヴ、ボアダムズ、ヤー・ヤー・ヤーズ、モグワイ、ベル・アンド・セバスチャン、パティ・スミス、ザ・ゴシップ他、本当に多彩な顔ぶれ。これだけ一挙に観られるのも、嬉しい限り。
ビーチで行なわれるので、遊園地を思わせる施設も自主的に設置されている様子。
なお最近では、12月4~6日にイギリス南西部Mineheadでマイ・ブラッディ・ヴァレンタインをキュレーターに迎えた《Nightmare Before Christmas》が開催され、ソニック・ユースやデ・ラ・ソウル、サン・ラ・アーケストラ、ホラーズなどが参加。その1週間後には《ATP10周年記念イベント》が行なわれ、その間の4日間も《In Between Days》というイベントが展開されていたそう。そんな10日間にわたってその場に居られる人が羨ましいです。日本にもフェス文化は定着しましたが、そのうちATPのようなフェスも立ち上がるのでしょうか。
*to be continued
