2009.12.16
MIKA@新木場STUDIO COAST
アップするのが遅くなってしまいました。11月30日に、たった1日だけ行われたMIKAのライヴは素晴らしいものでした。MIKAの来日公演は2007年のフジロック・フェスティバル07以来。ずっと楽しみに待っていたファンと同様、日本で単独公演をやりたいという気持ちが募っていたMIKA本人のテンションも高く、オープニングの音楽が始まった瞬間から超満員のフロアからは爆発するような勢いで歓声があがりました。
弾むようにステージを動き回り、踊り、歌うMIKA。
アートワーク同様にヴィジュアルイメージからも音楽世界を表現していくMIKA。ステージにはベンチが置かれ、屋外にあるスクリーンを見るためにメンバーが1人ずつそのベンチに座っていく......という設定からスタート。スクリーンの画面にはBBCニュースでのロケット《ディスカバリー》が発射されるシーンが放映され、発射と同時に会場にもスモークが焚かれ、そこにMIKAが登場するという導入。そういった凝った展開から「Relax, Take It Easy」から歌がはじまります。
よくみるとシャツの袖のデザインが可愛い!
エンターテイナーぶりは既に評価が高いのですが、とにかく驚かされたのが日本語の上手さ。後半で、日本人の女友達がいたことが明かされるのですが、それにしても片言という以上に巧みに日本語を喋って、観客を和ませます。パフォーマンスも鮮やかで、開始早々弾けるようにステージを踊り回り、上着を会場に向かって投げたかと思えば、「Stuck In The Middle」では電子ピアノを弾いたり、トランペットの音色をそのまま口から発したり、音楽に自在に溶け込んでいきます。
長い足をタップリ見せるかのように踊る「Touches You」に続いては、CMでも大ヒットした日本の歌「明日があるさ」を歌い、そこから最新アルバムのラストを飾るナンバー「Pick Up Off The Floor」をしっとり歌い上げます。華やかに魅せる時はステージがジェリービーンズの如く色彩鮮やかにショウアップされ、歌で聞かせるときはスクリーンにアニメーションが映し出されるなど、どこを観ても楽しめるような工夫がされていて、次々と繰り広げられるポップショウは全くといって退屈することがありません。音楽的には勉強していたクラシックやオペラから、ポップス面で影響を受けたというハリー・ニルソンからブロンスキー・ビート、そしてアニメソングまで多種多様に吸収していますが、MIKAから飛び出す音楽はどれもリスナーの心に豊かな情感をペイントしていくようなものばかりです。
長身であるうえに、ユニークな衣装でさらに存在が際立ちます。
「今年最後のショウだから~」と、スペシャルゲストに宇多田ヒカルが登場し、2人で「Lets it Snow」をデュエット。バケツから雪を降らせるなど、会場をさらにハッピーな雰囲気に温めます。王冠を頭に載せて歌うMIKAは、まさに"不思議の国のプリンス"と呼びたくなるほどお似合いだし、MIKAのファルセットが響き渡るポップチューン「Love Today」や、最新ヒット曲「We Are Golden」ではラストを飾るにふさわしく、会場が割れんばかりの大合唱。その歓喜はアンコールの「Grace Kelly」や「Lollipop」でも続き、1時間40分にわたって展開されたショウは、頭上に降り注ぐカラフルな風船と共に、誰もを満足感で包み込んでくれました。
MIKAの曲のイメージを広げながら描かれたART BOOK。
MIKAの世界は、発売中のLIVE DVDはもちろんのこと、4曲入りCDと、その4曲を題材にPaul Smithをはじめとするデザイナーやアーティストがイラストを描いた『MIKA: Song For Sorrow』や、最新アルバム『ザ・ボーイ・フー・ニュー・トゥー・マッチ』などで多角的に楽しむことができます。特に『ザ・ボーイ・フー・ニュー・トゥー・マッチ~ウルトラ☆ポップ・モンスター・エディション』には、インタヴュー映像やミュージック・ビデオやライヴ映像も収録していて、特にインタヴューでの話~音楽の世界で成功してようやくコンプレックスから解き放たれたこと、楽しいポップなメロディに悲しい歌詞を載せて歌う、その組み合わせにチャレンジしていること、曲作りは誰かの音楽に触発されるのではなく、部屋の壁にざまざまな絵のコラージュをしながらビジュアルイメージから創造の世界を広げていくことなど~が興味深く、ますますMIKAの魅力に取り付かれてしまいました。
また近いうちに、今度は全国をまわるジャパン・ツアーを実現してほしいですね。
『ザ・ボーイ・フー・ニュー・トゥー・マッチ~ウルトラ☆ポップ・モンスター・エディション』
Live Photo:Yoshika Horita
*to be continued
伊藤なつみ
音楽ジャーナリスト
フィガロジャポンではActualite のページをメインに原稿を執筆。マドンナ、デイヴィッド・ボウイ、U2、クインシー・ジョーンズ、ビョークをはじめ、洋楽邦楽問わず多数のアーティストに取材。
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