TOPIC PATH
HOME
  >  COLUMN
  >  Music Sketch
  >  新鋭バンド、フレンドリー・ファイアーズ
新鋭バンド、フレンドリー・ファイアーズ

2008.12.26

新鋭バンド、フレンドリー・ファイアーズ

「フィガロジャポン」2009年1月20日売り号の"トレンド予測"にも書きましたが、今、NYやイギリス(日本も!?)を賑わせている新鋭バンドの多くは、トーキング・ヘッズという1980年代を中心にミュージック&アート・シーンを席巻したグループの影響を多大に受けています。詳しくはフィガロを読んでいただくことにして、同じように影響を受けているフレンドリー・ファイアーズに先日取材をしたので、そのインタヴュー内容を紹介します(取材は12月3日。あまりの忙しさに掲載が遅れてすみません)。

ito1226a.jpg

フレンドリー・ファイアーズはエド・マック(Vocal,Bass 写真右)、エド・ギブソン(Guitar 同中央)、ジャック・サヴィッジ(Drums 同左)による3人組。14 歳の頃から音楽活動をはじめ、今もとても仲良し。また成績も優秀で、中心人物のエド・マックはかなりの頭脳派。インタビューの受け答えも独特で、楽しめました。

最初はハードコア系のバンドを結成し、グリーン・デイやオフ・スプリングのような音楽をやっていましたが、やがて80年代のクラブ・ミュージックに影響されて、次第に音楽性がダンス系に変化。イギリスNME誌の2008年のベストアルバム第10位にランクインしたデビュー・アルバム『フレンドリー・ファイアーズ』は、エド・マックの自宅のガレージで制作したそうです。

――独特のビートとキャッチーなメロディのバランスが絶妙ですが、自分たちらしいビートはどこから生まれてくるの?
ジャック:シェイカーやハンドクラップ、ボンゴを使ったり、リズムのなかでのいろんなレイヤー(層)を組み立てていくことはしているけれども、結局はキラキラした感じのメロディというのがスパイスになって、そのビートやリズムが引き立ち、結構深みのあるものに聞こえさせる、なんか不思議なコンビネーションになっているんじゃないかと思う。

――そのビートに乗せる歌詞にはこだわっていますか?
エド・マック:僕にとって音楽が一番大事な主役で、歌詞は最後に考える。歌詞の内容よりも、グルーヴの上にどうやってメロディを乗せていくか、歌い方が大事なんだ。それに歌詞で何を言うかよりも、メロディのほうが大事。だから、スミスみたいなバンドは好きじゃない。彼らの音楽は基本的に詩がベースとなっているのでピンとこない。むしろマイケル・ジャクソンの方が好きだね。決して難しいことを言っていないし、意味のないことだったりするけど、歌い方が素晴らしい。そしてその歌い方によって、聴く側も感情的な反応ができる。僕にとって音楽は感情を呼び起こすことが大切だからね。

――アルバムのテーマは何なのですか?
エド・マック:全体のテーマは愛だったり、逃避だったり。

ito1226b.jpg

――ラヴソングが多いし、希望を持たせてくれる歌詞が多いですよね?
エド・マック:自分の体験からしか曲を書けない。僕はあまり現実社会についての歌詞は好きじゃない。自分の音楽で、まわりの現実社会を敢えて思い出すことはしたくない。どちらかというと歌詞を聞いて、どこか違うところへ連れて行ってくれる方が好きだ。アークティック・モンキーズやリリー・アレンは現実を歌うけど、自分にとっては興味がない。たとえばだけど、人間が太陽の方へ向かっていって、太陽の中へ消えていくというような、現実離れした歌詞の方が興味がある。特にこのご時世、みんな落ち込んでいる時に、そういったちょっと期待を持たせるような歌詞は重要な役目を果たしているのではないかと思っているよ。

――自分たちの音楽で、どういった感情表現をしたいですか?
エド・マック:どちらかというとハッピーでも悲しくもなく、どっちつかずの言葉をつけないような微妙な感情が好き。ドイツのコンパックレコーズのアンビエントシリーズが出している音楽~2人がキスをしているシーンに流れたり、人が死ぬ前にベッドに横たわっている時に流れるBGMのような~ハッキリしないような微妙な感情を呼び起こす音が好き。はっきりしない方が、本当の人生を表現していると思う。

――音楽的影響を受けたバンドを教えてください。
3人:たくさんあるね。トーキング・ヘッズ、マイ・ブラッディ・バレンタイン、ボアダムス、テクノレーベルのコンパックレコーズ、マーヴィン・ゲイ、ディアンジェロ、マイケル・ジャクソンなどさ。

――フレンドリー・ファイアーズの音楽を理解するのに参考になるアートはありますか?
エド・マック:アレハンドロ・ホドロフスキー監督の映画『ホーリー・マウンテン』かな。『エル・トポ』の監督さ。凄いヴィヴィッドで、でも重くて深い部分などもある。最初観てわからないことでも、何回も何回も観るとちょっとずつ面白い要素が入っていて、毎回新しい発見があるという映画で、聴くたびに新しい発見をしてもらえる僕たちの音楽に、共通しているんじゃないかなと思う。   
エド・ギブソン:ジム・オルークが好き。素晴らしいメロディを弾くギタリストで、ソニック・ユースで活躍していたこともある。詩人でもあるし、音楽もクラシックでダークでピースフル、そしてジャジィ。いろんな要素を兼ね備えている。あとスモークというミュージシャンもいいね。

――このバンドの最終目標は何ですか?
エド・マック:目標としては、あまり一般的に使われていないような、イマイチあまり受けていないようなコアな音楽の要素を、聴きやすい形にして、ポップなカルチャーとして伝えていきたい。ヘンなテクノだったり そういうものを自分たちの音楽に取り入れて、それをもっとポピュラーな方へ持っていくことをもっとやっていきたい。ロマンチックで逃避的なサウンドトラックもやりたいね。

ito1226c.jpgフレンドリー・ファイアーズ

*to be continued*

(※記事・写真の無断転載を禁じます) 

PREV  |  NEXT >
2008.12.26  |  CULTURE
COLUMNIST

伊藤なつみ

音楽ジャーナリスト

フィガロジャポンでは音楽ページとRendez-vousのページをメインに原稿を執筆。マドンナ、デヴィッド・ボウイ、U2、クインシー・ジョーンズ、ビョーク、レディー・ガガをはじめ、洋楽邦楽問わず多数のアーティストに取材。
・ELLEgirlでの連載ブログはこちら
・CREAでの連載コラムはこちら
・Twitterはこちら

BACK NUMBER
BACK NUMBER