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ビヨンセ ライヴ@さいたまスーパーアリーナ

2009.10.20

ビヨンセ ライヴ@さいたまスーパーアリーナ

ティエリー・ミュグレーが手掛けた、ミュージシャンやダンサーのものも含めた全72着の衣裳や、総額5億円と言われるステージセットも評判のビヨンセのショウ。早速、見に行ってきたので、ご紹介していきますね。

アリーナは開演前から既にスタンディングの超満員の客で、熱気ムンムン。もちろんスタンド席もそう。そして、サマーソニック09での大トリでの熱狂が続いているかのような大歓声の中、ビヨンセが登場。スポットライトを自身の後ろから当てているため、逆光に浮かびあがる姿が、実にドラマチックなライヴの始まりを予感させるのに十分な演出です。

FIGARO050A.jpg ティエリー・ミュグレーがデザインした衣裳は隅々までゴージャス

ゴールドの衣裳を着たビヨンセを中心に、白や赤といった遠くからも映える鮮やかな色調のボディスーツに身を纏ったダンサーが次々と登場。豪華なホーン隊の音色が「Crazy In Love」を一気に盛り立てます。続く「Naughty Girl」ではステージが真紅の照明で被われ、ゴージャスな展開にセクシーなムードが加わり、かと思うと次の「Freakum Dress」では重低音を強調し、ブラック・レザーにスタッズがたっぷりついたハードな衣裳を着たギタリストがギンギンに弾きまくります。

男性ダンサーが4名いる他は、ここ最近のライヴがずっとそうなように、ミュージシャンとダンサー4人は全員女性。同じ女性ながら、そのパワーに圧倒されるばかり!ビヨンセは「Get Me Bodied」では、会場を行き来するライトすべてを吸収しているかのような光沢を衣裳から放ち、全パートを熱唱し、一糸乱れぬダンスも披露。
 
オープニングから瞬きをするのが惜しいくらいパワフル&ゴージャスな展開ですが、全部で6部構成のショウは、ここからもっと凄いことになっていきます。

波の音と映像と共に現れたビヨンセは、純白の衣裳にチェンジして「Smash Into You」を。バックスクリーンは次第に海底を映し出し、まるで地上から海底に射し込まれた陽光にビヨンセが照らされているような演出に。このバラードセクションではゴスペルも交えた「Ave Maria」や「Broken Hearted Girl」をじっくり歌い上げます。

圧巻は「If I Were A Boy」。黒革ホットパンツとトップスの上下にサングラスで歌い出したかと思うと、途中からアラニス・モリセットの名曲「You Oughta Know」に転じて、アラニスのミュージック・ヴィデオさながら頭を回して髪をぐるんぐるん振り乱す。意表を突いたロックな展開に、観客も大騒ぎになりました。そして再び「If I Were A Boy」に溜めて戻ると、最後は一旦ストップして会場を沈めてから、しっとり終わります。見事な締め方でした。

FIGARO050B.jpgまるで作られたかのように完璧なビヨンセ。最初の3曲しか撮影が許可されていないので、他の衣裳をお見せできないのが残念です。


さて、以前の原稿で最新アルバム『アイ・アム...サーシャ・フィアース』では2人のビヨンセ、つまりは素顔のビヨンセと"サーシャ・フィアース"というステージ上の別人格を象徴していると説明しました。第3部ではサーシャというロボットを映像で紹介しつつ、派手な色彩を使ったブラに光沢のパンツというセクシーな衣装で「Diva」をオリエンタル調に展開します。次にスクリーンにビヨンセの幼少時の映像を映すと、ラジオからの歌を聴いて育ったビヨンセを想起させるように「Radio」へ。

中盤のバンド・セクションではブラックの衣裳に着替え、各ミュージシャンのソロを差し込みながら進行。なかでもベース奏者が「Billy Jean」など、マイケル・ジャクソンに敬意を表したフレーズを演奏していたのが印象的でした。歌ではオールド・スクールを意識した「Ego」も良かったですが、客席に呼びかけるように歌った「Hello」が圧巻で素晴らしく、涙がこぼれました。

アリーナの中央に設定されたBステージに向かって、シルバー(?)の衣裳に着替えたビヨンセがダンサーたちと練り歩き、レゲエな「Baby Boy」から、客席と熱唱した「Irreplaceable」、「Check On It」と人気ナンバーが続きます。そしてデスティニー・チャイルド時代のヒット曲「Bootylicous」「Bug A Boo」「Jumpin' Jumpin'」をメドレーで。このあたりはバッキングコーラスの3人が中心となって、ビヨンセは要所要所を歌っている様子。「Upgrade U」「Video Phone」と続いた後は"What's my name?""Say my name!"という掛け声から「Say My Name」へ。

ダンサーがヒット曲に合わせてダンスを披露した後は、"I never give up""keep on surviving"といった意思表明のような言葉がスクリーンのビヨンセから発せられ、それは「If I Were A Boy」の前に"compromise""humor"といったキーワードを発していたことに意識的に繋げていたと感じました。純白にラインストーンをあしらったような光沢ドレスで登場し、映画『Cadillac Records』から「At Last」、続いて映画『Dreamgirls』から「Listen」を映画のシーンをスクリーンに映し出しながら熱唱。特に「At Last」の途中で、オバマ大統領就任式でこの曲を披露し、夫妻が踊った映像を流した時には、ビヨンセの揺ぎ無いプライドを感じました。

本編が「Single Ladies(Put A Ring On It)」で幕を閉じた後、ビヨンセはまたも衣装を変えて「Halo」を。この後印象的だったのは、アリーナを歩く際に携帯電話が落ちていたら、それを拾って持ち主を探したり、赤ちゃんの顔をなでたり、ファンとの交流を楽しんでいたこと。その間ステージには、ビヨンセの幼少時の歌っている映像が今度はカラーでスクリーンに映し出され、それが最後には敬愛するマイケル・ジャクソンの写真に変わり、マイケルのために書き下ろしたという「Forever Young, Michael」を熱唱。その後も、"今日誕生日の人はいるの?"と挙手してもらい、その人たちに向けて「Happy Birthday」を歌うなど、最後までファン・サーヴィスをしていて、ビヨンセ自身も終演するのが名残惜しそうでした。

もう十分にアーティストとして地位も名声も得ているのに、物凄いトレーニングをしていないと成し得ない大規模なショウを展開し、絶妙なパワー配分をしながら、圧倒的な歌唱力とゴージャス感で魅了してくれたビヨンセ。素晴らしいですよね。ここまで達成してしまう人がいるなんて信じられないくらい完璧な内容だし、席がステージから遠かったとしても工夫がされていて、観に来た人は誰もが大満足だったと思います。ビヨンセを見ていると、彼女の成長そのものが女性の進化を象徴しているように思えます。

Photo:SMJI提供


*to be continued

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2009.10.20  |  CULTURE
COLUMNIST

伊藤なつみ

音楽ジャーナリスト

フィガロジャポンでは音楽ページとRendez-vousのページをメインに原稿を執筆。マドンナ、デヴィッド・ボウイ、U2、クインシー・ジョーンズ、ビョーク、レディー・ガガをはじめ、洋楽邦楽問わず多数のアーティストに取材。
・ELLEgirlでの連載ブログはこちら
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