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シャルロット・ゲンズブール ライブ・レポート

2010.10.29

シャルロット・ゲンズブール ライブ・レポート

10月24日、有楽町にある東京国際フォーラム・ホールAまで、シャルロット・ゲンズブールの初来日公演を観に行ってきました。これまで映画でのプロモーション来日はあったものの、音楽活動といえば15歳の時に父セルジュ・ゲンズブールのプロデュースでソロ・アルバムを出し、それからは20年後の5年前から本格的に音楽活動を再開したほどブランクがあったので、とても貴重なパフォーマンスを見ることができました。音楽活動期間が長くはないとはいえ、既にヨーロッパやアメリカなどでライヴが大評判だったように、期待以上の公演となりました。


1029music2_1.jpgバレンシアガのミューズとしても知られるシャルロットは、全身バレンシアガで登場。

バンドメンバーのうち、ブライアン・ルバートン(MD,Key)、ブラム・インスコア(B)はベックのバンド(『モダン・ギルト』のツアーで来日)から。エリック・ガードナー(D)は、トム・モレロ(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、オーディオスレイヴ等)と親交が深く、トムとトレント・レズナー(ナイン・インチ・ネイルズなど)のプロジェクトに参加している強者。他にもスカーレット・ヨハンソンのアルバムに参加していたAmir Yaghmai(G,Vio)、女性デュオ、エレクトロキュートの一員であるニコール・モリエ(G,Backing Vocal)が加わり、5人でシャルロットをサポートします。

ステージにはLEDによる11本のポールが立てられ、それぞれにピンスポットが。また床にもライトを設置。前回のレディオヘッドのセットに似ていると思っていたら、同じスタッフのアンディ・ワトソンによるものでした。シャルロットはレディオへッドの大ファンであり、そういえば、音楽活動を再開したのも、彼らのコンサート会場でAIRの2人に会ったことがきっかけでした。


1029music2_2.jpgステージの様子。次第にポール状になったLEDから色彩がふんだんに発光されていく。

1029music2_3.JPGちなみにこちらが前回のレディオヘッドのステージの様子。筆者撮影。

ライヴは、最新アルバム『IRM』を作る動機となった曲「IRM」からスタート。これは、シャルロットが2007年夏にアメリカで水上スキーをしながら転倒して大事故に遭い、その際に脳検査で聴いたノイズを元に作られた楽曲。真っ赤なライティングの中、時にはシャルロットも脇に置いたドラムを叩きながら、ベックのプロデュースから生み出された実験的なサウンドを展開していきます。

エッヂの立ったサウンドの中にアコースティック・ギターやヴァイオリンを交えた演奏が、オレンジとレッド、ブルーとグリーンといった光の交錯に見事にマッチ。特に「ル・シャ・ドゥ・カフェ・デ・アーティスト」のような陰影に富んだナンバーでは、ディープなグリーンと白、ピンクとパープルといった光の組み合わせで妖しい雰囲気を醸し出し、シャルロットの存在感の強い、心から強い意思をもって囁くようなヴォーカルが、その空間に溶けていきます。そして終盤に向けて演奏は一気にアグレッシヴになり、シャルロットもエフェクターをいじるなどして、アヴァンギャルドなロックへと転じていました。


1029music2_4.jpgマイクスタンドの右脇に機材やドラム(フロアー・タム)が置かれ、シャルロットも感情が高まるにつれて演奏に加わります。

歌として聴かせる「AF607105」のようなナンバーもありましたが、個人的には終盤に向けて音のカオスへ入っていき、シャルロットもフロアー・タムを力強く叩くなど、エネルギーを一気に放出していくようなナンバーが印象に残りました。その叩きっぷりも響きの強さから、コンサート会場にいた時はシンセ・ドラムを叩いていたと思ったほど。彼女は全身バレンシアガで決めていてしっかりオシャレではあったものの、歌や演奏に加え、途中からマイクを手にステージの左右に動くなど、パフォーマーとして魅了される部分が多々ありました。女優が歌手を演じているのではなく、今回曲作りの時点から積極的に参加していたこともあり、自分が歌いたい世界を表現したい、という思いを非常に強く感じることができました。

トークも、最初は「コンバンワ」「Merci」といった短い言葉を曲と曲の間に残していましたが、終盤になるにつれて、日本でライヴできたことに対する感謝を長々とフランス語で述べるなど、熱いファンからの視線や拍手や声援が、本当に嬉しかった様子。


1029music2_5.jpgベックがプロデュースしたアルバム『IRM』の楽曲は、ライヴでさらに生命力が加わったかのようにエネルギッシュに演じられました。

ライヴでは『IRM』からは全曲演奏した他、前作『5:55』から5曲、他にボブ・ディランの「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」をアコースティックギターをバックにスツールに腰掛けて歌ったり、セルジュ・ゲンズブールの曲では「特別ホテル」と、アンコールの最後にはラテンのリズムに合わせて楽しそうに「クーラー・カフェ(コーヒー・カラー)」を披露。以前は、どうしてもセルジュの娘というプレッシャーから音楽の世界から離れていたシャーロットですが、昨今の2枚のアルバム、また大成功を収めている今回のツアーで得た自信からか、すっかり自分のスタイルで音楽の世界にどっぷりと浸かっているように感じました。

終演後に、当日券を購入して慌てて駆けつけたRie fuさんを誘ってバックステージに挨拶に行かせていただいたところ、Notifyのジーンズに着替えていたのですが、まず全身のその細さに驚きました。そして、雑誌の写真やステージから感じていたままの柔和な笑みを浮かべながら、フレンドリーに会話に加わってくれて、オフもオンも日常もいつも変わらない優しさで人々に接しているのでは、と思わせてくれました。世界中の女性が憧れるというのに納得できる、素敵な女性でした。

Set list
1) IRM
2) Greenwich Mean Time
3)Me and Jane Doe
4)Master's Hands
5)Set Yourself on Fire
6)Jamais
7)Heaven Can Wait
8)In the End
9)Time of the Assassins
10)La Collectionneuse
11)Le Chat du Cafe des Artistes
12)AF607105
13) Vanities
14)Just Like A Woman(ボブ・ディランのカヴァー)
15)Dandelion
16)Hotel Particulier (セルジュ・ゲンズブールのカヴァー)
17)The Operation
18)Looking Glass Blues
19)Trick Pony

EC1) Songs That We Sing
EC2) Voyage
EC3) Couleur Café (セルジュ・ゲンズブールのカヴァー)


1029music2_6.jpgシャルロット・ゲンズブールの最新作『IRM』

*Live Photo:古渓一道
*To Be Continued

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