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オペラの衣裳を手掛ける、ひびのこづえさんにインタビュー④

2012.02.17

オペラの衣裳を手掛ける、
ひびのこづえさんにインタビュー④

――ひびのこづえさんは、舞台以外にも、コマーシャルやミュージック・ヴィデオ、映画といったお仕事もいろいろやってらっしゃいますけど、オペラだからこそ衣裳を作っていて楽しい部分というと、どのあたりになるのでしょうか。

「そうですね、やっぱり圧倒的な音の世界は本当にすごいと思いますね。もちろん他のものにも音楽はあるけれど、人間の声が出てそこに集中して見られるじゃないですか。違う感動に襲われるというか、すごいですね」

――それはデザインに影響はあるのでしょうか? 聴きながらデッサンしたりとか。

「最初のプランを考える時にはしますけど、ずっとは聴いてないし、機械から出てくる音って違いますよね。何かリアリティがないんですよね。なので全部が揃ってお稽古しているのを見ると、"はぁ~、この人のために(衣裳を)作ったんだ"っていうか、何かそこで初めてわかるみたいな(笑)。そうすると、どんなものでもそうですけど、それが衣裳としっくりきたりしていると"本当によかった"とか、初めてホッとするって感じですね」

――衣裳がその人のキャラクターを決めると言っても過言ではないと思うんですけど、通し稽古などご覧になってから、このシーンで映えるためにさらに色を加えたり、布を加えたりしたことはありました?

「ありましたよ。『さまよえるオランダ人』は白い衣裳が入ってくるんですけど、"あまりオランダ人で白を使うのはあまり見たことがない"ってスタッフは言っていて。"でも面白いからトライしてみよう"って言ってくれたんですけど、やっぱり彼の身体が丸っこいので、白は膨張色なので舞台上で見ると、ただ目立っちゃって。そこでもう少しモチーフを足したり汚しを入れたり、レタッチを入れるっていうんですかね、影を入れるっていうことをかなりやりましたね」


120217music_01.jpg新国立劇場オペラ『さまよえるオランダ人』(2007年)で採用された、ひびのこづえさんによる斬新な白の衣裳。撮影:三枝近志

120217music_02.JPG

120217music_03.JPGひびのさんによるデザイン画。

――そうなんですか。そこまでぷっくりしてるイメージは感じなかったです。

「そうなんです。そういったことは演じてみないとわからなかったので、それはちょっと苦労しますね」

――実際に『さまよえるオランダ人』をご覧になって、好きな場面はありますか?

「結構どのシーンも好きです」

――madameFIGARO.jpの読者に向けて、「このシーンは注目してほしい」といったお気に入りのシーンがあれば教えて下さい。

「やっぱり群衆のシーンですね(笑)」


――最後に伺いたいんですけど、ひびのさんはコスチューム・デザインの他に、今ではいろいろプロダクトもデザインされていますけど、子どもの頃から洋服をデザインするのがお好きだったのですか?

「子どもの頃は暗い子どもで、ひとりでとにかく絵を描くのが好きだったんですね」

――それは洋服の絵とか関係なく?

「そうですね。漫画みたいなもんですよね。いたずら書きをずっとしている。それか、外に出てひとりで黙々と雪だるまを作るとか穴掘るとか、ひとりで遊ぶのがすごく好きで。遊びながらお話を作っているような子どもでしたね」

――何歳ぐらいの時に、自分は美術の方に向いていると思われたんですか?

「もう子どもの頃からまわりが"絵が上手だね"っていうふうに褒めてくれたので、将来は絵をやりたいって決めていました」

――衣裳に興味をもつようになったのはいつ頃からですか?

「大学を出て、(何をやろうか)悩んでいる間にだんだん衣裳になったっていう感じですね。大学の時はまだ服をやるなんて考えてなかったですね」

――今ではものすごい数のお仕事をされていて・・・。

「自分でも何か分からなくなってくる(笑)」

――とはいえ、いちばんメインになるのはやっぱりコスチュームですよね。

「そうですね。一応それがメインの仕事ではあるんですけど、でも表現することが、昔はひとりでしか遊ばなかったけど、今は人に会うのが仕事になってきちゃったじゃないですか。だからそれはそれで楽しくなって(笑)」

――今日はいろいろとお話を伺うことができて、とてもうれしかったです。ありがとうございます。

「ぜひ、今回の『さまよえるオランダ人』も見て下さいね」


ひびのさんの作品は多岐にわたっていますが(公式サイト参照)、他に有名なところでは、宇多田ヒカルさんのミュージック・ヴィデオ「Passion」のコスチュームなども手掛けていらっしゃいます。

日本から撮影場所の中国まで運ぶのが大変だったという衣裳は、葉脈にも血管にも見えるようにデザインし、裾は風船で膨らませたそう。


日本人の服が平面的ということでは、葛飾北斎の絵を思い浮かべた人が多いかもしれません。伝統芸術の世界でもチャレンジしていくだけではなく、西洋・東洋の枠組みを超えて新たな発想でコスチューム作りに取り組んでいるひびのこづえさん。今回お話を伺って、ひびのさんの今後のご活躍をさらに応援していきたいと思いました。

なお、『さまよえるオランダ人』の演出家マティアス・フォン・シューテクマン氏と衣裳デザイナーひびのこづえさんとによるトーク・セッションが、2月27日(月)18時30分~新国立劇場内のオペラパレス・ホワイエで開催されます。ご興味のある人は、ぜひ足を運んでみて下さい。私も行きます。


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