2009.06.25
フィガロジャポン7/5号の「大人ゆかたでお出かけしましょ。」特集
フィガロジャポン7/5号(6月20日売)の「大人ゆかたでお出かけしましょ。」見ていただけましたか?
前回のきもの特集号のように表紙がきものではないので、見過ごしていた人は本屋さんで手にとってみてください。今回は、07年冬の金沢ロケ以来の街中での撮影でした。編集担当Hさんのロケハンのおかげで、東京にもこんなに風情のある場所があることを知り感激しました。
特に水月ホテル鴎外荘の中にある森鴎外の旧居は、仕事ではなく、ゆっくり訪ねてみたいとおもっています。この久留米絣と小千谷縮を撮った趣のある日本の家です。
根津神社も名前は知っていたのに、それに東京にもう30年以上は住んでいるのに、来たことがなかったのが恥ずかしくなりました。京都に憧れる前に自分の身近なところにある歴史的な美しい建造物をちゃんと知っておくべきと、おおいに反省したり・・・
くし・あげ・どころ「はん亭」は、現代的な町のなかにポツンとありますが、こんな家並みが続いていた少し前の東京・・そして江戸の町に思いを馳せると、いろいろなきもの姿が目に浮かび心楽しくなりました。
そしてお出かけゆかたに興味がわいたら、きもの売り場ものぞいてみてください。漠然とではなく、何かひとつでもポイントをもって見に行くと楽しいはずです。私はこの前の土曜日に別の用事で伊勢丹に行ったのですが、最後に食料品売り場に寄る前に例によって呉服売り場に。まさにゆかたの季節が始まっていて、フィガロの「綿麻」のページ(P74)で紹介した多色染め江戸ゆかたの柄が、いろいろそろっていました。

それに夏帯のなかでもお気に入りの博多の献上も沢山。

仕立てる前の帯は、きものの反物のように巻かれた状態で置かれていますから見過ごしている人もいるかもしれませんが、献上はわかりやすいので、是非、今の季節によく見ておくことがお勧めです。そうして慣れてくると、きものと帯の反物の見分けが少しずつわかってくるのでは・・・
今シーズンでてきた帯で特に気になっていたのが、ミンサーの名古屋帯です。ミンサーは好きでゆかた用に二本持っていますが、どちらも半幅で、どうしても普段着。伊勢丹特注という名古屋帯は、6月と9月の単衣の季節にも献上と同じようにしめられるます。色合いも程よく渋く、さまざまな組み合わせが浮かび欲しくなる一本がありました。
その右上に飾られていたのは、やはり今シーズン目につく久留米絣。機械織だから実現したという¥31,500というプライスはお得感がありました。たてわくや雪輪の古典的な柄は、伊勢丹オリジナル。まわりが白っぽいゆかたの時、こんな久留米絣でちょっと目立つのもいいなという感じです。
ちょうど奥のコーナーでは久留米と本藍の特別展をやっていて、そこには本藍、手織りの高級品も。写真に写っているのは、重要無形文化財 松枝哲也作のきもの。¥1,050,000です。これをすべて手で、と思うと気が遠くなります。私が子供のころは、ごく一般的な普段着だった久留米絣が、作る人がいなくなり超高級品になってしまい残念に思っていました。今年は手頃なものもでまわっているようで、嬉しい限り。ちなみに機械織で本藍の先程のよりすこし高価なものは、こちらのコーナーに。
実際に買うのは手頃なプライスのものになるとしても、たくさん見て、目をこやしてから選ぶと自信をもって決められるはず。そんな意味でも、このような展示があったら気軽にのぞいてください。このときは隅のほうで、ブルー関連の昔きものの商品も。こちらも一見の価値がありました。残念ながら、どちらももう終わっていますが。
「はん亭」で撮影した竺仙の奥州小紋も今は仕立て上がったものもいろいろそろっています。自分サイズに仕立てるのがベストですが、サイズに問題のない人、なにがなんでもすぐに着たい人は、既製品も良いかもしれません。水に桜という、ゆかたというよりきものふうの柄行の綿紅梅が¥64,050でありました。粋ではなく、はんなりゆかたを着たいと思っている人は、こんなのからチャレンジするのもいいかもしれません。
そして呉服売り場に行ったら、ちゃんとしたよそゆききものも見てきてください。着る機会はないかもしれませんが、やっぱり美しいものは美しい。それに夏は必要なくても、袷で着るかもしれない訪問着や付け下げ。夏ものの柄行や色の特徴を知っていると、袷の自分らしい選びの参考になるはずです。この写真の右から3番目に写っている少し濃いめのピンク地に光悦垣と秋草の絽の付け下げは反物で¥273,000。そう秋草は夏きものの柄なのです。
皆が肩をだしたドレス姿のパーティーにこんなきものに白地か黒地のすっきりした帯の人がいたら印象的だろうなと想像してしまいます・・・贅沢ですが。
お出かけゆかたがきっかけで、きものが好きな人がふえますように。そんなことを思いながら、私もこの夏はもっときものを着ようと考えているところです。
原由美子
スタイリスト
日本のスタイリストの草分け的な一人。1970年雑誌「an an」創刊に参加。その後、スタイリストとして活動をはじめ、1990年からはフリーのファッションディレクターとして「フィガロジャポン」「婦人公論」「Hanako」など数々のファッションページや朝日新聞のコラムなどを手掛けてきた。著書に「原由美子のおしゃれ上手」など。