2009.12.03
「宅麿」というきものブランドのご紹介
今回は「宅麿」というきものブランドのご紹介です。
きものについてブランドという表現を使ってよいものか疑問もありますが・・・
京都在住の宮本宅麿さんが創られるきものは、すべてひとつひとつお客様の好みや要望にあわせて制作するものばかりです。
というわけで、きもの屋さんではなくプライベートな会場で作品展と受注会が開かれます。友人に紹介され以前から案内状はいただいていたのですが、タイミングが合わなかったり、ちょっと敷居が高かったりで、なかなか行かれませんでした。
東京で定期的に開かれている会に初めて行ってきました。
こことは別に、一階下のスペースには男ものとイブニングガウンのように着られる打掛ふうのきものが飾られていました。
宅磨さんが目指しているのは、伝統素材を使った京友禅。加えて継承者がいなかったりさまざまな理由で失われつつある古典技術を駆使したきものです。技術や職人を守りたいという思いがこめられています。
美しいきものや帯がひろがっていて胸がときめきますが、決して誰もがすぐに手に入れられるものではないのもわかります。
フィガロの読者にも関心をもっていただけそうなものはと伺ったところ、ありました。
私自身も興味津々でした。
比較的きもの初心者の方にも薦められるという市松の地紋の無地のきもの。
大きな市松が今まで知っていたものとは一味違い新鮮でした。
私の市松好きも確かですが。予算に応じて帯を選べば40万くらいでおさまるということでした。
黒地の桜の帯とならそのくらい。仕立て代や裏地のことは別ですが。
薄いピーチカラーで白っぽく見える帯の場合は挌も上がりますが、お値段も48万くらいになるとのこと。
縮緬の無地のきものは持っているのですが、綸子の無地は気に入った地紋に出会えず持っていませんでした。
でもこのきものには、ひと目ぼれ。もう少し若い時にめぐりあいたかったと残念です。
市松を小さくということもあるかもしれませんが、この大きさが魅力です。
モカ茶のような、または渋めの抹茶色にすれば今の私でも?母から譲られたあの袋帯があうかもしれないなどと考えをめぐらすだけでも楽しくなりました。
この私の右側に見えるきものは、アップにするとこうなります。
小紋は小紋ですが、シンプルな型染めの江戸小紋とは異なるということがよくわかります。色蒔糊の技法で創られているのですが、その糊のなかにはもち米もつかわれていて、その結果細かなあられのような柄と白い大きめなあられがこのように表現されるということでした。
細かなあられには5色入っています。
このきものにさりげなく華やかな色の帯で・・・というのも惹かれます。
左のきものは、一見古典柄ふうですが、よく見ると、いるかと波、太陽の模様で白い小さな水玉も効いていて軽やかな印象が魅力的でした。
その他にも気になったものは沢山ありますが、ここでは少しだけ。
古典柄ですが柄の大きさのバランスと色づかいの可愛さにみとれてしまいました。
この袋帯も会場にはいった途端、色と柄の見事さに目をみはってしまったもの。
コレは棗をいれる茶結びの柄の離寛茶色の訪問着の一部です。
部分的に刺繍され、それぞれの模様が繊細に描かれています。
いつかこんな風格あるきものを堂々と着られるようになりたいものとながめたり・・
行くまでは少し緊張していたのですが、行ってからは夢中になってきものを見てしまいました。
優れた技術で創られた美しいきものは見るだけでも心を浮きたたせてくれる力があるようです。
まだまだきものについて知らないこともいっぱいあるし。
宅磨さんに感謝しつつ、その場をあとにしました。
原由美子
スタイリスト
日本のスタイリストの草分け的な一人。1970年雑誌「an an」創刊に参加。その後、スタイリストとして活動をはじめ、1990年からはフリーのファッションディレクターとして「フィガロジャポン」「婦人公論」「Hanako」など数々のファッションページや朝日新聞のコラムなどを手掛けてきた。著書に「原由美子のおしゃれ上手」など。