TOPIC PATH
HOME
  >  COLUMN
  >  きものの楽しみ
  >  エミリオ・プッチと西陣織りのコラボ
エミリオ・プッチと西陣織りのコラボ

2010.04.08

エミリオ・プッチと西陣織りのコラボ

またまたご無沙汰しました。
一年間休んだパリコレに今回は行ってきました。
帰ってすぐに見た、あのプッチの帯のお話を、と思っていたのに
一週間ほど高熱で寝込んでしまい遅くなってしまいました。
パリが25年ぶりとやらの寒さで、
あちらにいる間は絶対に風邪をひかないと頑張っていたのですが、
帰ってからどっと疲れがでてしまったようです。

あのイタリアのエミリオ・プッチと京都の西陣織りのコラボによる帯。
フィレンツェで生まれた歴史あるブランドであるプッチのプリントの美しさ
と魅力は今更説明するまでもありません。でもその柄を日本の帯にするとどうなるか。
実際に目にするまでは少し不安もありました。

でもお店でその帯を見て思わずうっとり。
西洋の柄を日本のきものに使うとすれば、
更紗模様かある種のシンプルな幾何学模様しか許されないと思いこんでいた私なのですが、この帯には脱帽でした。

_MG_1724.jpg


スカーフにも使われている柄ですが微妙に調整され西陣織りの高い技術で格調高い帯に仕上がっていました。

F4.JPG


創業者の娘であるラウドミア・プッチさんが何度も京都を訪れ西陣の職人たちと2年近くの歳月をかけて妥協せずに創りあげた結晶のような帯です。
見ているとこの色にはこんなきものと、想像がひろがります。
3色それぞれ魅力的ですが、若い時の私だったら、黒地。今はベージュ地にひかれました。きものの色や柄を合わせるのが楽しみになる帯です。そして、年取ってからも長くしめることをかんがえるとグレー地がよさそうです。

受注生産でお値段は、¥1,280,000 仕立て代は別途¥5,000

高価ですが、柄が全体に織られている全通であること。
使われている糸が特別に貴重なもの。
その繊細さから、風の無い密室で撚られる幻の糸『10中(となか)』であるこ
とを考えると当然と思えます。
この糸を撚ることができる職人はほとんどいなくなり、糸は現存するもので終わ
り。ということで、糸がなくなったら、もうこの帯も創ることはできなくなるそ
うです。
実際に糸をさわらせていただきましたが、その柔らかいこと。

F1.JPG


普通、全通の錦帯というと重みと硬さ、それに厚さも気になるのですが、
これは驚くほどしなやかで柔らかく本当にしめやすそうでした。
しめても、体になじんで心地よさげです。

それともうひとつ、この帯の魅力といえば、たれの部分がウロコ柄であること。
プッチ本来の柄だそうですが、ウロコは日本の柄でもあります。
それも厄除けの意味をもっています。
ごく自然に西洋と東洋が一本の帯のなかに共存していて、しかも美しい。
なんだか嬉しくなってしまいました。この帯は4月15日まで銀座店のニ階に展
示されているそうです。のぞいてみてください。

一階に下りると、そこには春夏ものが。
これはこれで、また心浮き立つ雰囲気です

F55.JPG
PREV  |  NEXT >
BRAND
Emilio Pucci
2010.04.08  |  FASHION
COLUMNIST

原由美子

スタイリスト

日本のスタイリストの草分け的な一人。1970年雑誌「an an」創刊に参加。その後、スタイリストとして活動をはじめ、1990年からはフリーのファッションディレクターとして「フィガロジャポン」「婦人公論」「Hanako」など数々のファッションページや朝日新聞のコラムなどを手掛けてきた。著書に「原由美子のおしゃれ上手」など。

BACK NUMBER
BACK NUMBER