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マックイーンの死、そして、<br>ファッションウィークサーキット再開。

2010.03.03

マックイーンの死、そして、
ファッションウィークサーキット再開。

再び始まったファッションウィークサーキット。

バイヤーのみならずコレクションを巡るファッション関係者、そしてデザイナーやブランドにとっても、AWシーズンはとてもハードである。1月中からスタートするプレコレクション、オートクチュールが終わるや否や、すぐNYへと飛び、そして今度はすぐLONDON、MILAN、PARISと、エンドレスでコレクションが発表されるシーズン。SSはバカンス時期を挟むので、肉体的にも精神的にも少しリラックスできるが、このAWに関していえば、むしろ日本に3月中まで帰って来ない方が楽なんじゃないかと思うことも多々ある。でもそれじゃあ、あまりにも留学生みたいだし、SHOPの動向も分からなくなってしまうから、ちょこちょこ合間に帰ってくる。しかし東京の家はほとんどスーツケースが開きっぱなし状態、時差ぼけしっぱなし状態。洗濯をして、ネイルにいって、美容院にいって、まつげに行ったら私の貴重なオフは終了である。だからまだ「アバター」も観ていない。ファッションウィークが終わったら一番にしたいことは、「アバター」観覧だ。

そんなにもハードな日々であっても、AWシーズンの方が大好き。

単純に冬は厚着ができるからスタイリングのバリエーションが多くて楽しい、という理由もあるけれど、一番燃えるのは、デザイナーが提案するテーマがより難解で奥深いという点と、心に訴えかけてくるパワーの強さみたいなものを感じるから。SSシーズンは、どのデザイナーも比較的想像のしやすい、自然であったりとか、人物であったりとか、HAPPYなメッセージであったりをテーマにすることが多く、ふんわりした気持ちで臨むことができるが、AWはもっと難解なものを打ち出すメッセージ性の強いブランドが多く、その解釈に挑むということが非常に大好きである。90ブランド以上が集まるセレクトショップにおいて、パズルのようにキーワードに基づきながらスタイルを組んでいく作業は実に楽しい。

わくわくした気持ちでNYへ向かうその日の真夜中、一本の電話が鳴る。


McQueenがこの世を去ったというニュース......。まさに言葉を失った。
多くのファッション界に生きる人にとって、彼はかけがえのない存在であった。私にとっても彼は本当に大切なデザイナーであった。特に彼が自己のルーツであったり、ヘリテージであったり、心の深い部分を追い求めるかのようなテーマ性を服へと落とし込むシーズンは、常に私に多くのインスピレーションを与え、RESTIRのセレクションを一層深く意味あるものへと成長させてきてくれた。あまりにも大きな衝撃であった。このショックに飲み込まれないように、スーツケースにはいっぱい自己啓発本や引き寄せの法則的な書籍を詰め込み、機内で読み漁りながらNYへ向かった。おそらく周りの目にはかなり病んでいる女に映ったであろう。こんなにも悲しい出来事があっても、この日のNYの空はこれまでに見たことのないほどの美しい眺めで、まるで一歩前に進まなければならないと、誰かが背中をぐぐっと押してくれているかのような錯覚に陥った。
今シーズンはそんなスタートである。

しかし、この事実をしっかりと受けいれて、ファッションが発信する喜びを伝えなきゃ、そしてそのキーワードを掴む、それを今回の目標に据えた。

偉大なる才能の喪失に揺れるNY Fashion Weekは、それをカバーするために期待をかけすぎたせいか、なんだか何かが物足りない。それは何かと言われると非常に難しいのだが、ショック状態に詰め込んだ前向きすぎる本の内容とのギャップにやられて、「そもそもファッションってなんなのさ」という根本的な問いかけにぶつかってしまった。

トレンドをひたすら追いかけるだけでもなし、クラフトマンシップを極めるだけでもなし、誰かの物まねでもなく、でも誰かがトレンドを作り出し......。混乱する。

混乱しながらも思うのは、服で幸せになってしまう瞬間って必ずあるということ。1つのスタイリングが、もっと違う自分にしてくれたり、もっとHAPPYな気持ちにしてくれたりって誰でもが味わったことがあるはずだ。彼にほめられたり、友達にほめられたり、ちょっと自信が持てたり、それが願掛けのようになったり。

単純だけど、やっぱり人生にスパイスを与えてくれるようなものを集めよう、と結局、原点に戻った。

そんな悩めるファッションウィーク。

この脳内もやもやから抜け出るのは、きっとパリにてMcQueenの最後のコレクションを見るときだ。

というわけでそんな悩ましきNY の様子をちょっぴりご紹介。

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@ Willow
最近RESTIR内でブームなモデルAbbey Lee

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@Doo.Ri
ショーが始まる前のこのざわざわが好き。お土産も好き。

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@Victoria Beckham
スーパーシックでエレガントなドレスのコレクションはいつもヴィクトリア自らが一つ一つ解説してくれる。今回はこの二つを個人オーダーです。

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@Moncler Grenoble
体感温度マイナス10度くらいなのに、なんと外でプレゼンテーション。モデルたち死にそう、いくらMonclerを着てるといっても......、お疲れ様です。

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@Chris Benz
今回、着たいものが満載だったクリス・ベンツ。色の魔術師。もちろんファーの帽子はこの冬被るつもりです。


100303s_8.jpg

@ Alexander McQueen Boutique

RIP Lee Alexander McQueen......


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2010.03.03  |  FASHION
COLUMNIST

柴田麻衣子

リステア マーチャンダイジング&バイイングディレクター

愛知県生まれ。愛知県立大学英文科卒業。リステアに入社し、2002年以降、バイヤーに。現在は同社のマーチャンダイジング&バイイングディレクターとして世界各地でバイイングを行う。

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