2010.04.06
ファッション中毒患者のつぶやき。
怒濤のファッションウィークもようやく一段落。
やっと帰国。VIVA 焼酎。
以前も書いたかもしれないが、私は極度のお買い物中毒患者である。だから毎回出張に行く度に毎に、「これはショーに着ていくやつ!」「これは自分へのご褒美!」と、その物欲はとどまることを知らない。本来の買い物中毒患者というものは、買うという行動それ自体に満足するらしいが、私はちゃんと着るし、着回すし、楽しむし、大切にするし、なので病名は異なるはずだが... 仮にファッション中毒患者と名付けよう。
ちょっと日本では照れちゃうようなスタイルや山手線には乗れないようなスタイルもできちゃうのがファッションウィーク、ショーピースを堂々と着られる大切な1週間ということで、ファッション中毒患者の私のボルテージは最高潮にあがる!のだが、今回驚きのロストバゲッジ4日間...
10足持ってきたシューズももちろんスーツケースの中だし、あれやこれやと考えてスタイリングした洋服も、買ったばかりで一度も袖を通していないものも、愛用のシャンプーも命のヘアアイロンも何もかも全部その中!これではまさに翼をもぎ取られた鳥のようではないか!とまあ、残念な滑り出しではあったが、そのおかげでちょっと買い物ができたからまあよしとしよう。
このバイイング人生の中で、たびたび訪れるこういったハプニング。その度ごとに、「なんか私悪いことしたかな?」と反省したり、「神様が考え方を変えろ!と言ってくれている」と思ったりする。それは結構いい風に自分のメンタルに作用してくれている気がする。
「スーツケースが無い分、無いなりにテンションあげます!」って感じに。
今回は私的には強いトレンドキーワードがありそうでなさそうなそんなシーズンで、混沌としているようにも感じたが、その中でもフィービーやステラの発信するミニマリズムには新鮮に映り、気分でもあり、新しいタイプのセクシーだなあと実感しつつ、たっぷり取り入れつつも、やはり中毒患者としましては、最後の最後のMcQueenは外せない。
前回McQueenが...と書いた私であるが、しつこいかもしれないけど最後のコレクションはやっぱりすごかったのでぜひとも見ていただきたいと強く思う。
信じられないほど美しいものとはこのことだ。美術館に飾って許される服が現代にどれくらいあるだろうか。
こんなにも繊細で美しい刺繍とシルエットを作れるであろうか?
フレスコ画のようなこのプリントやジャカードは、彼が救いを求めようとしていた気持ちの現れなのかな?
機会があればこの翼の生えたドレスを着たい。これで結婚するもよしだし、歌うもよし、着ていく場所が無いです、という台詞はこの際どうでもいい。
特にこのジャカードは、聖母と何だか不吉なものと、両極端のモチーフが共存していて、一体全体どんなことになっているのか混乱してしまうようなものだったが、素晴らしすぎる仕上がり。
本当にとんでもない。とんでもない才能の持ち主だと思う。
とんでもなさすぎるため、個人的にも、これまでの人生で最も高い靴を買うことに決めた。彼が作ったもので、デイリーに使えないもので、オブジェになるものを手に入れておきたかった。今シーズン最も迷い無く個人オーダーしたものです。
とんでもなくすばらしく美しい所へ行けそうじゃないですか?
トレンドとは全くリンクしていないかもしれない。
でも、ものすごい思いの詰まったコレクションだった。
目にするだけで涙した人もいるほど、パワーが大集結したコレクション。
そんな服って、めったに無い。特に現代においては...。
YSL展を見て、McQueenのコレクションを見て、私のボルテージはさらにあがった。
ファッション中毒患者、次なる試みができました。
ただただ着飾るためのもの意外のものも、それがファッションの歴史に残るべきものであったり、普遍的なものであれば、どんどん買いましょう。ちょっと無理をしてでも。
Diana Vreelandを目指しましょう。
柴田麻衣子
リステア マーチャンダイジング&バイイングディレクター
愛知県生まれ。愛知県立大学英文科卒業。リステアに入社し、2002年以降、バイヤーに。現在は同社のマーチャンダイジング&バイイングディレクターとして世界各地でバイイングを行う。