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2009.12.18

"Wang" day trip to Switzerland!

Swiss Textiles Awardに参加する為チューリッヒへやって来た。しかも1泊3日というスケジュール...。
人生初のチューリッヒ。成田から12時間くらいかかるのだが、夕方の16時に降りたって翌日の13時の便で帰るという、滞在時間24時間未満という何とも言えないハードな旅程。もちろん自由時間も街を見る時間も一切ありません。きっと美しく、ハイジが野山を駆けめぐるかのような、のどかな街であっただろうに、楽しめなかったのは残念でならない。

空港からそのまま会場前のホテルに放り込まれる。

さて、日本ではあまりお馴染みではないこのアワード、スイスのテキスタイル協会が若手のコンテンポラリーデザイナーをサポートするもので、100,000ユーロの賞金とテキスタイルが授与されるという非常にデザイナーにとってはありがたい権威のある賞。ここにノミネートされるのにはとても細かいルールがある。もちろん能力やアイデンティティやブランドコンセプトが確立していることは基本条件で、プラス4シーズン以上パリ、NY、 ミラノ、ロンドンのいずれかのファッションウィークでプレタポルテのショーを行っていること、あまりにも大御所でも駄目、世界の市場に広く売られていること、若手とはいってもアンダーグラウンド過ぎても駄目、メディアや雑誌にもしっかりと取り上げられていることなどなどたくさんの条件をクリアするブランド であることが必須。各国のプレスやバイヤーなど何人もの審査員がまず候補のデザイナーを選出して6ブランドに絞り込む。この第一段階の審査員として今回は参加させて頂いた。

091216s1.jpg

この賞がスタートして10周年ということで、これまでに選ばれたデザイナーたちも大集合。Haider Ackermann、Raf Simons、Bruno Pieters、Marios Schwab、Christian Wijnants、Daniel Herman、Benoit Missolin、Tran Hin Phu、そして昨年の受賞者でこの賞の初のアメリカ人となったRodarte。

受賞式の前のパーティーはかなりフレンドリーな環境で、お客もデザイナーも入り乱れてカクテルタイムというなかなかお目にかかれない面白い状況が繰り広げられた。パリやNYだとこういった賞はもっとエキスパートの為だけの閉鎖的な空間だが、ここでは誰もがデザイナーに" Hi!!" と声を掛けてもOKな空気が流れていた。普段では聞けないような話をしたりと、とっても貴重な体験。

さて10周年を記念する2009年にノミネートされた6つのブランドは、Alexander Wang、Alexis Mabille、Thakoon、Peter Pilotto、Erdem、Ohne Titel。RESTIRで取り扱いのあるブランドが2つも選ばれて、バイヤーとしては我が子が誉められた母のような不思議な気持ち。この6つのコレクションのランウェイが最優秀ブランド発表の前に行われたのだが、既にファッションウィークで見たのと同じだけれども、その時とは違う暖かい気持ちでランウェイを見つめる。

091216s_2.jpg Alexander Wang


091216s_3.jpg Alexis Mabille


091216s_4.jpg Thakoon


091216s_5.jpg Peter Pilotto


091216s_6.jpg Erdem


091216s_7.jpg Ohne Titel


その中でも長い間取り扱っているAlexander Wangはやはり特別に思う。審査員の中には彼のコレクションがコマーシャル過ぎるとか、普通に着れる服が多すぎるとか批評する人もいるけれど、それだって彼の特色じゃない?と思ってしまう。

ファッションにおける"クリエイティブ"と いう定義が、確実に変わってきていると強く感じる昨今、一言でベストデザイナーを選ぶのが本当に難しくなった。現実に着ることが出来ないけど独創的なデザ インであることがクリエイティブなのか、日々の生活に取り入れられるいわゆる普通のデザインだけど素晴らしいシルエットを追求をしているのがクリエイティブなのか...。

どちらも大切だと思う。要はどっちつかずの中途半端じゃなければいいんじゃないか。デザイナーが提案すべきコンセプトがしっかりとしていて、その思想にぶれがないっていうことが大切なような気がする。そういった意味で、Alexは 完璧に後者を極めた数少ない存在だ。普通のものほど売れない時代のはず。そこにはプライスの戦いがあるから、ただ普通なだけでは安いファストファッション のものが売れてしまうはず。しかし彼のデザインは普通だけど常にクールで他では絶対手に入らないディテールがある。斬新なデザインで、奇想天外な生地を用いて作り上げる服ももちろん素晴らしいが、彼のように、あくまでもデイリーでベーシックな中に、いかに流行を生み出すひねりを加えるかを考えることだってとっても難しいこと。そういった意味で彼の存在は確実に他と一線を画していると思う。そしてPARTY大好き人間だからこそなせる、ショーの選曲のバランスやスタイリングも大好き。アメリカのスポーツウェアからインスピレーションを受けた今シーズンのコレクションに選んだこの曲は、日本への帰りのフライト中頭の中でリピートしまくった。

昨年のCFDA、今年のスワロフスキーアワード、そしてこのSwiss Textilesと、受賞しまくりのAlex!本当におめでとう!! 今シーズンも彼の活躍から目が離せません。

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2009.12.18  |  FASHION
COLUMNIST

柴田麻衣子

リステア マーチャンダイジング&バイイングディレクター

愛知県生まれ。愛知県立大学英文科卒業。リステアに入社し、2002年以降、バイヤーに。現在は同社のマーチャンダイジング&バイイングディレクターとして世界各地でバイイングを行う。

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