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ハッピーファッションバイイングA to Z第7話:Great Mother's Story

2009.05.28

ハッピーファッションバイイングA to Z
第7話:Great Mother's Story

年明けから断続的に続く海外出張サーキットを無事終える頃、ちょうど東京では「ソメイヨシノ」を筆頭に桜の開花シーズンを迎えます。今年は天候に恵まれてとりわけ長い期間それを楽しむことができましたね。歳を重ねる毎にその美しさが身にしみる気がします。

kasahara090528-1.jpg 自宅近所の桜アーチを散歩して楽しみました

こうしてようやく東京でほっこりした気分を味わい、一瞬のセンチメンタル気分に浸る一方、ここからバイイングツアーの最終章が始まります。ゴールデンウィーク前まで続く、東京をベースに活躍されるデザイナーさん方の展示会ラッシュです。
ご存知のとおり近年ますます東京発デザイナーの重要性が増してきています。以前の東京コレクションや東京デザイナーというと、「カワイイ」個性の過剰なデザインや色使い、もしくは原宿系ストリートイメージ。最近では渋谷系「ガールズコレクション」が世界の各地に進出するほど話題になり、実際このマーケットはとても元気ですよね。
そうした一方、今シーズンはそれらだけでない新しいベクトルがようやく形として見えてきたような気がします。「エモモナキア」「アキラナカ」「レプラス」など。大人っぽくてコンセプチャル。作品性が高いだけにバイヤー視点で見るとまだまだ商売にどう結びつけるか課題が残るところが多いものの、東京の大人化を目指したい私としては共感できるブランドを是非応援していきたいと思います。

kasahara090528-2.jpg エモモナキアの展示会から。今回は娼館の女性がイメージとか。今回のコレクションで一番心惹かれたベルテッドコートドレスです

kasahara090528-3.jpg 腕のところのふさふさした部分は生地を手で丁寧にほぐして作ったとのこと。まさにクチュールテクニックの極み

さて今回はそれらとはまた別の視点でますます注目度や存在感が高くなっている、近年多くの日本女性の圧倒的共感と支持を得られている東京デザイナーにスポットを当て、その魅力や吸引力の秘密を私なりに解き明かしてみたいと思います。
このようなコンセプトになると強いのはやはり女性デザイナー。着手の気持ちや使い勝手は手に取るように分かるし、それを形にしていけるのは大きな強みとなります。とはいえ表現方法やアプローチの仕方は勿論、個性はまちまち。でもハタと共通点があることに気づいたのです!
それは一見個性や癖があっても、一方でどんな人も受け入れる鷹揚さが作品に潜んでいるのです。
こう着なくてはいけないとか束縛めいたものは全くなく、どんなものとも合わせられて、日常に心地よく、ちょっとだけ女度を上げてくれる。自由度があるというか、不思議な包容力みたいなものを感じるのです。そしてそのような特徴は実はデザイナーさん自身が全くそのとおりの個性をお持ちで、私から見てある意味作品の持つ個性とウリ二つ。
そうそう、彼女達にお目にかかる時には常に大きな笑顔で迎えて下さって、周りへの温かな配慮を感じ、展示会場を後にする時にはなんだか元気を貰って帰る。ちょうどお母さんに会った時みたいな日溜まり感とおおらかさやパワーを感じるのです。そして実際みんなに共通するのはクリエイターという役割と同時に「ママ」という役割も担っていることでした。
守り育むべき「娘」(作品と家族)に惜しみなく注ぐ愛情や姿勢がそれらを生き生きとさせ、周りに感応する。それがそのブランドの魅力や吸引力の秘密だ!というのが、今回私の出した一つの結論です。皆さんはどう思われますか?

(1)KAONデザイナーの米山薫氏
丁度一年前、第一子メイちゃん誕生の2日程前にaquagirlの事務所まで来て頂いて別注の打ち合わせをしたことが記憶に蘇ります。メイちゃんは名前のとおり5月生まれで、1歳のお誕生日ももうすぐです。ママに手をかけることなくお仕事中もおとなしい女の子とのことですが、もう暫くしたらママの横に座ってお絵描きなどする日が近いのでは?なんて思います。
薫さんはいつもおおらかで柔軟で前向きで、ライフ&ワークバランスの取れた姿勢を常に尊敬しています。今回のこのジャケットはかっちりとしたシルエットなのですが着心地は抜群。薫さんもこのジャケットを着ながらメイちゃんを楽々と抱き上げていました。

kasahara090528-4.jpg 薫さんとメイちゃん。「ちょっとお眠なんだけどぉ・・・」

kasahara090528-5.jpg 薫さんが着用している着心地の良いジャケットのホワイトバージョン

(2)PIPPIデザイナーの佐藤葉子氏
「おっかさん」と自称するおおらかさが彼女の麗しい容姿と対極するというのもまた魅力だと思います。長女のマイペース・はっちゃんと次女の甘えん坊・ベラちゃん(共にNPO法人「ライフボート」出身)のママである葉子さんの作品は日常に履けることを常に意識して製作されています。
2009-10年秋冬の展示会テーマは「フェティッシュ」。強さと女らしさを併せ持つシューズが発表されました。そのコンセプト自体、公私ともに仲良くさせて貰っている私には彼女の生き方そのものに感じました。

kasahara090528-6.jpg 甘えん坊のベラちゃんをおんぶ紐で抱っこしてお散歩するとか。ちょっと微笑ましい

kasahara090528-7.jpg 蛇の型押しレザーの上にインドビジューがわさっとてんこ盛り

(3)HAMIRUデザイナーの福田晴美氏
パリと東京を往復する際でもリタちゃんと一緒。ママに抱っこされている時、至福の顔を見せてくれます。展示会中もママから離れられない様子です。
独立して2シーズン目のコレクションも日常に一番便利なジャージ素材で表現した作品のみで構成されているのですが、お洒落着と日常着をこんなに近づけてくれたデザイナーは見たことがないかも!と思うくらい素晴らしかったです。彼女が最近下さったメールに記された「どんな時も優しい気持ちを持ち続けて」というコンセプトがすべての作品に感じられました。

kasahara090528-8.jpg 展示会場での晴美さんとリタちゃん。リタちゃんは彼女専用のヘアスタイルに整えられたトイプードル犬です

kasahara090528-9.jpg 装飾が美しいジャケット。着心地も大変良くてデザインも素敵と欲張り仕様

(4)Bilitis dix-sept ansデザイナーの瀬下裕子氏
引っ越しをする前の事務所からは徒歩2分の距離にある神宮前にある個性的なショップ。レトロ感とリラックス感がミックスされたたたずまいが印象的です。ここにいる子はMieちゃん。最初は近所をうろうろするだけの猫ちゃんだったそうですが、ご飯をあげるうちにここの子に。Mieちゃんと瀬下さんとの距離感は彼女の自由さを尊重する形がベース。べたべた過ぎず見守っている感じの瀬下さんに大人の愛情表現を感じました。
新作ではレトロ感があるけどすっきりとしたモダンな印象のレース使いものや控えめな甘さを持ったバレリーナ風チュールものに心を奪われました。

kasahara090528-10.jpg Mieちゃんは推定13歳。とは思えない素敵な毛並み

kasahara090528-11.jpg 一番お気に入りのブラウスですが、今回このブラウスのチュニック丈バージョンをスペシャルに製作依頼しました。今から出来上がりが楽しみです

(番外編)aquagirl本部スタッフの中村展子氏
4月末から産休に入られた展子さん。彼女はバイヤーとショップスタッフをつなぐ要としてなくてはならない存在の人でした。今お腹にはお二人のお子さんがいます。一年後さらに素敵になって帰ってきてくださいね。aquagirlスタッフ一同、皆で待っています。

kasahara090528-12.jpg 産休入り前にランチを南青山のAW kitchen figliaで

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Akira Naka | aquagirl | Bilitis dix-sept ans | Et Momonakia | Hamiru | Kaon | LEP LUSS | Pippi
2009.05.28  |  FASHION
COLUMNIST

笠原安代

アクアガール ディレクター

神戸大学教育学部(現・発達科学部)卒業後、大手百貨店入社。婦人服の販売職からスタートし、アシスタントバイヤーに。3年間のミラノ駐在所勤務を経て、ワールドへ。2000年9月よりアクアガール バイヤー。現在はディレクターという立場で商品買付けのみならず、商品開発、店舗デザインや販促・PRなど多岐にわたってブランドビジネス全般に深く関わる。

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