2010.04.22
パリの住まい その3
3軒目の住まいは、縁あって、友達の古い友人アーティスト、Valérie のお宅へ。
ここは、元々バスチーユから連なる家具のアトリエ街。往時からの名残で、今も沢山のアトリエが有ります。ヴァレリーの家も高級家具の工房があった処で、天井が高めの広い室内、ここに30年前から住んでいる。
同じ敷地の奥は、竹林に囲まれたアトリエ建物で、外の喧騒はよそに、中に入ると本当に静か。ちょっとした田舎の風情です。ここに、「猫が行方不明」「オーベルジュ・エスパニヨル」などの映画で有名なセドリック・クラピッシュや多くの映画人が住んで居るそう。
インテリア誌AD を始めMaison France,ELLE DECO, Marie Claire Maison,など、数多くの雑誌で、その仕事を紹介されているヴァレリー。手描きのデッサンを用いた家具の生地をデザインしたり、内装のデコレーションなど、建築家との仕事も多い。
この静かなアトリエ兼用の住まいのサロンで絵を描いたり、テキスタイルを作る作業を。奥が陶芸の工房で焼き物用の窯やろくろが有って、今は6月のexpoの準備中。
生地見本を見ているヴァレリーとコットン、麻やフラノに文字を手描きした見本。
サロンの窓側にあるキッチンは、朝の柔らかい光が差して、心地よい。
無造作に見えて、どこを切り取っても絵になる。本当に趣味の良い人。
美味しい日本茶を淹れてくれるヴァレリー。
「純粋なものが好きなの」と食べるものは、いたってシンプル。

アンティークのグラスやホテルで使われていた古いお皿。

棚の上には、彼女の作品。盆栽、やかん、茶筒が並ぶ日本いにしえコーナー
イギリスは、サセックス州・ルイスにある、ヴァネッサ・べルとダンカンの家「チャールストン・ハウス」を思わせるお風呂は、彼女の手によるもの。そして、やっぱりサロンの本棚には、ベル・ダンカン夫妻、ヴァージニア・ウルフの本がたくさんあるのです。
書斎兼ベッド・ルームには、面白い本がいろいろ・・・この前からパリ装飾美術館でexpoがで始まったLalanne夫妻の作品集やマーク・ロスコなどなど、偶然にも同じ本を幾つも持っていたりして、共通の好きなものの話が弾む。

妙にカラダに馴染むウールのたまごクッション。「こういう肘掛椅子に、映画「conformista」(邦題は、「暗殺の森」)の中でドミニク・サンダが、こうやって座っていて、凄くカッコ良かった~~!」と言うと、「そうそう、ドミニク・サンダはね・・・」とキリなくおしゃべりが楽しい!
私のベッド・ルーム。タオルひとつとっても、彼女の趣味が。
穏やかで、にこやか、好奇心いっぱいで、あらゆる美しいものに敏感でいて造詣が深い。
引っ越しを手伝ってくれた友達と一緒に、すっかり彼女の人柄や暮らしぶりに魅了されてしまった。
毎日毎日、一人で創作を続けられるというのは、余程芯の強い人だ。
住まいって、本当にその人そのもの。
フランスで出会う魅力的な人は、必ず素敵な暮らしをしている。
避難生活も、早2ヶ月。
ストレス、杞憂、ため息も多いけれど、こんな人に会えるのは、なんとも本当に運が良い事!!
天井だけじゃなくて、空から、こんな宝物も落ちて来た! つづく・・・
HARADA SACHIYO
料理クリエーター
自身のブランド「hoa*hoa」をはじめ、長い間、モードの仕事に携わる。2003年渡仏、料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。ホテル・ムーリス、京料理店、寿司店での研修を経て、2006年より、日本料理教室、出張料理、レストランのコンサルタントなどの活動を展開。現在、料理本の出版準備中。パリ発のWEBマガジンchocolatmag内に「こども厨房へようこそ」連載中