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フランス・リヨンへの取材旅行 Part.1

2009.07.23

フランス・リヨンへの取材旅行 Part.1

6月15~25日まで、フランスはリヨンまで取材旅行に出かけた。他人から見れば羨ましいような仕事かもしれないけれど、飛行機が超の三乗ぐらい苦手な私にとってはそれどころではなかった。まさに一大決心!! 1時間足らずの国内線でさえ、乗っている間中、固まってしまう私である。10時間以上も飛行機に乗るなんて、考えただけでもストレスがたまってしまうほど。情けない話だけど本当に嫌い。というわけで、今回は睡眠薬を携えての機乗となりました。

今回、リヨンでの取材先は、リヨン郊外に立つ辻調グループのフランス校「シャトー・ド・レクレール」と「シャトー・エスコフィエ」だ。ここでフランス料理を学ぶ生徒たちをルポ。併せて、彼らが研修に行く先々のレストランやパティスリーのシェフたちにもインタビューするのが主な取材内容だった。

というわけで、今回から2~3回に分けて、リヨン滞在中の食日記を綴ろうと思う。

1日、2日目は、各々のフランス校で終日取材のため、生徒さんたちの作る料理を頂いた。で、3日目。午前中、ショコラの名店「ベルナション」と一ツ星レストラン「ラリヴォワール」を取材後、「ポール・ボキューズ」へ。明日の取材に備えて?、今日は、ランチを楽しもうというわけだ。

moriwaki090723-1.JPG 「ポール・ボキューズ」の外観

「ポール・ボキューズ」といえば、今はなき代官山のレストラン「レンガ屋」を思い出す。当時、大学生だった私にとっては、初めて訪れた本格的なフランス料理店が「レンガ屋」だった。ややこしいフランス料理は苦手な私の父だったが、ここだけは贔屓にしていて、家族の記念日などの折、よく連れて来てくれた。

といっても、注文はいつも同じ。前菜にスモークサーモン(サーモンフュメ)、コンソメスープにメインは"スズキのパイ包み焼き"。冬には、これに生カキが加わったり、弟がささやかな抵抗をしてコンソメをポタージュに変えてもらったことはあっても、父はいつも同じ自分流のコースを楽しんでいた。このあたり、現在の自分の嗜好と気持ち悪いぐらいよく似ていて、時々ギョッとする。

どの料理もおいしかったけれど、とりわけ楽しみだったのが"スズキのパイ包み焼き"だ。サクサクのパイ、しっとりとして滋味豊かなスズキの身は、当時の私にとって夢のようなおいしさだった。目の前で鮮やかにサーヴされる見事な手さばき、そしてレストラン全体から醸し出されるエレガントな空気に、もうすっかり酔ってしまっていたのだと思う(可愛いなぁ)。

一口一口をかみしめながら、いつか、このパイ包みを一人でまるごと食べてみたい。食べる度、いつもそう思っていた。スッと下げられる頭の部分を見て、あっ、あそこも食べられるのに・・・などと考えていた大学生の私だったのである。

閑話休題。そんな思いを胸に秘めつつ、訪れたレストラン「ポール・ボキューズ」。ディズニーランドのような、ポップな外観には、少々とまどってしまったが、店内は、想像通りのラグジュアリーな空間。それも、日本のレストランの、どこかとってつけたようなきらびやかさではなく、インテリア、家具、調度品の一つ一つがこの店の歴史を物語っているようで、どこか知的なエレガンスを感じさせる。

moriwaki090723-2.JPG 同店のシックなテーブルウエア

テーブルにつき、メニューを眺めると、ありました!!"スズキのパイ包み焼き"。
"Loup en croûte feuilletée, sauce Choron (à partir de 2 convives)."
と、フランス語で記されている。まずは、これを食べねば・・・。本物を絶対、食べてみなくては・・・と心に決める。

今日のメンバーは4人。日本から同行の学研H氏。パリ在住のカメラマンS女史に、エスコフィエ校で生徒の生活面を見ているM先生。アラカルトにするかコースにするかetc、20分近く、シャンパンを傾けつつ迷った結果、「コースの魚料理をパイ包みと変えられると思いますよ」のM先生のひと言で、コースに決定。ちなみに、パイ包みはpar person~なので、奇特にもM先生がおつきあい下さることとなった。

moriwaki090723-3.JPG ボキューズ氏をはさんで左から、学研H氏とエスコフィエ校M先生

moriwaki090723-4.JPG 同じく左から、私とカメラマンS女史

コースは、前菜、魚、肉は、2~3種ある中から好みを選ぶシステムになっている。前菜は軽く"オマール海老のサラダ"にしたつもりだった。が、しかし・・・。これが、全くの誤算。少しも軽くなどない。日本でいえば、十分メインのボリューム。何せオマール海老が丸ごと冷製になって皿の上に鎮座ましましているのだから・・・。成澤さんの"オマール海老のサラダ"のようなお野菜いっぱいのサラダを頭に浮かべて注文した私が浅はか・・・というか、読みが足りなかったのだ。そう、ここは何といっても天下の「ポール・ボキューズ」なのだから。

moriwaki090723-5.JPG "オマール海老のサラダ"

ボリュームはあるけれど、調理はシンプル。オマール海老には、サウザンアイランドのような(何という例え!!)ソースがかかっているのみ。身の下には、マセドニアンサラダ風のじゃが芋のサラダがしのばせてある。胴の部分、爪の部分、各々に食感や味わいが異なっていて楽しい。久々に、オマール海老を思いっきり堪能した。

ふつうなら、これ一皿とサラダかスープで立派なランチだ。が、これはまだ序の口。前奏曲にすぎない。これから、あの"スズキのパイ包み焼き"が登場するのだ。その後には、ピジョンもひかえている。

少し気弱になった私の前に、あの・・・懐かしの・・・"スズキのパイ包み焼き"が、銀盆にのせられてうやうやしく登場。さすがに大きい。心なしかこちらの方がグラマラスな気がする。さて、その味わいやいかに? (というところで、続きはまた次回。)

ポール・ボキューズ
40 QUAI DE LA PLAGE, 69660 LYON, FRANCE
☏(04)72429090
営業時間/ランチ12:00~13:30、ディナー20:00~21:30(食事開始の時間)
定休日/なし ※要予約
http://www.bocuse.fr/accueil.aspx
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2009.07.23  |  GOURMET
COLUMNIST

森脇慶子

フードジャーナリスト

「dancyu」をはじめ、数々の雑誌やメディアのグルメシーンで活躍する、フードライターの草分け的存在。取材はもちろん、プライベートでもひたすら食べ歩きに邁進。その小柄な体からは想像できないほど強靭な胃袋の持ち主。「東京最高のレストラン」の採点者を務めるなど、その舌に絶大な支持を集める。

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