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フランス・リヨンへの取材旅行 Part.3

2009.08.27

フランス・リヨンへの取材旅行 Part.3

約10日間にわたるフランスでの滞在中、星付きのレストランでの食事は計3回。先の「ポール・ボキューズ」に、女性シェフならではの細やかな味わいが魅力の「メゾン・ピック」、サン=テティエンヌ郊外にある瀟洒なレストラン「ル・ヌーヴィエム・アール」で、フルコースを楽しんだ。

皿いっぱいの料理で胃袋を圧倒したボキューズ以外の2軒は、どちらも今風の上品な盛りつけ。ボリュームも極めて軽く、前菜とメインに量の差はほとんどない。というか、私的に言えば、前菜が淡々と続く感じだった。

一皿一皿の完成度の高さ、おいしさは十分認めるのだけれど、今一つ「食べた」という気にならない。というかインパクトがないのだ。事実、食べ終わってからも、「あれ? 何、食べたっけ」という印象しか残らなかった自分が、我ながら情けない。どうも、上品な料理には、私の胃袋はとまどってしまうようだ。

そんな私の胃袋と最もフィットしたのは、リヨン市街にある「ル・コントワー・トンマ」だった。案内してくださったのは、「シャトー・ド・レクレール」のN先生。フランス料理店というよりも、もっとカジュアルな雰囲気で、テーブルとイスも"コントワー"の名の通り、カウンター風。少し高めで、背の低い私は、イスによじのぼるようにして席についた。

moriwaki090827-1.jpg 「ル・コントワー・トンマ」の店内

メニューを開くと、スペイン料理の影響か、プランチャ(鉄板焼)の料理が多い。"モッツァレッラとトマト"なんていうイタリアンな一品もある。料理も全体にライトな感じだ。が、ボリュームはたっぷり。これがいい。メニューを眺め眇めつつ、頭の中であれこれシミュレーションしていると、小さなカップに入ったガスパチョが登場。アミューズである。(何かもう一品出たはずなのだけれど、スミマセン、忘れてしまいました)

moriwaki090827-2.jpg ガスパチョは小カップで

学研H氏はすでにシャンパンを片手にエビス顔である。

まずは、"マテ貝の鉄板焼"を注文。これをつまみつつ、私は"Salade de légumes grilles à la plancha, sauce vierge et copeaux de panmesan"を前菜に、メインは、散々迷った末、"Epaule de cochon de lait noir de bigorne à la rôtissine"に決定。軽く白ワインをふって炒めただけのシンプルなマテ貝は、日本で言えばさしずめアサリの酒蒸し。貝の旨味をストレートに楽しめて、箸、否、フォークが止まらない。あっというまにお皿は空。

moriwaki090827-3.jpg "マテ貝の鉄板焼"

鉄板で焼いた野菜と生野菜を取り混ぜ、パルミジャーノでアクセントをつけたサラダも気がきいていておいしかったけれど、感動的に美味だったのはビゴールの仔豚である。

moriwaki090827-4.jpg パルミジャーノを加えたサラダ

ビゴール豚は、一時日本でも話題になり、「ローブリュー」や「ブラッスリーオザミ」等で食べた記憶がある。肩ロースを一本丸ごとじっくり炭火で焼いた「ローブリュー」のそれも相当おいしかったけれど、この仔豚も、負けてはいない。こんがりと狐色に焼きあがった仔豚は皮つき。この皮のパリパリ、ザクザクの歯応えがたまりません。中華の仔豚の丸焼を彷彿とさせる食感に、ひとりほくそえむ私でした。

moriwaki090827-5.jpg ビゴール仔豚のグリル

そういえば、以前、「ペルゴラ」で食べたロンバルティア風仔豚の料理も、皮がパリパリだったっけ・・・などと思いながら、最初はバクバクと、後半は、残りを惜しみながらじっくりと味わった。軽快な食感の皮に対して身はしっとりとして実にジューシー。ほんのりミルキーな味わいを感じるのは、乳飲み仔豚のせいだろうか。

同じメニューを頼んだN先生も大絶賛。焼き具合も絶妙で、豚本来の旨味、風味が見事に生かされていた。デザートのパンペルデュは、向かいの系列店から出前で。向かいの店は、正統派のフランス料理店らしい。

あまりに気に入ったので、帰国する当日のランチも、ここに来たほど(フランスでの最後の食事でした)。3日とあけずに訪れたため、若いギャルソン君にもしっかり顔を覚えられたみたい。おかしかったのは「こいつら、日本人のくせにけっこう喰うぞ」と思ったのか、この日は、前菜のサラダが前回の倍量になっていた。しかも、パンは山盛り。この前、2回もお代わりしたのをちゃんと?覚えていたみたい。若いギャルソン君、なかなか優秀である。

9月、再びリヨンを訪れる時にも、ここにはもう一度、立ち寄りたいと思っている。

ル・コントワー・トンマ
3 RUE LAURENCIN, 69002 LYON, FRANCE
☏(04)72419299
http://www.restaurant-thomas.com/
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2009.08.27  |  GOURMET
COLUMNIST

森脇慶子

フードジャーナリスト

「dancyu」をはじめ、数々の雑誌やメディアのグルメシーンで活躍する、フードライターの草分け的存在。取材はもちろん、プライベートでもひたすら食べ歩きに邁進。その小柄な体からは想像できないほど強靭な胃袋の持ち主。「東京最高のレストラン」の採点者を務めるなど、その舌に絶大な支持を集める。

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