2009.07.01
祝解禁!「鮎正」で頂く今年の"初鮎"
いよいよお待ちかね、の"鮎シーズン"到来である。場所によって、多少ズレがあるものの、どこも大抵6月1日が解禁日である。
毎年、この解禁日を待ちかねる思いで、食べにいくのだが、口あけは、いつも「鮎正」。まずは、ここから、私の鮎の季節は始まるのだ。が、しかし!!実は、不覚にも、去年は、初日、2日の予約をとり損なってしまったのである。
因みに「鮎正」の鮎は、島根県高津川産。実家の旅館が島根にあり、毎年、そこから鮎は送られてくる。島根で6月1日にとれた鮎が、「鮎正」に届くのは翌日の2日。というわけで、その1週間ぐらい前に予約の電話を入れたところ、すでに満席。「時間をずらしてもダメ?」としつこく粘ったものの、結局NG。
思わず「なんで?」とつぶやいてしまった。いったいいつ頃から、みんな、こんなに鮎が好きになったの? ここ20年余り「鮎正」に通っているけれど、こんなことは初めてだ。
そこで、去年の轍は2度と踏むまいと、今年は思いっきり早く、5月早々に予約の電話を入れた。
「6月2日、2名で予約、お願いします」
すると、ご主人の山根恒貴さんから、思いがけない返事が・・・。
「森脇さん、今年、高津川は解禁が早いんですよ。今月の20日には解禁しますから、うちでは、25日から、鮎、始めますよ」
ラッキー♡
例年より、1週間も早く鮎を食べられる!! 残念ながら、25日は先約があり、26日に早速出かけることにした。
今夜の連れは、ここ数年、鮎釣りにはまっている?講談社のO氏。店でおちあうことにした。およそ半年ぶりになる鮎との対面に、胸をときめかせつつ、引き戸をあける。磨きこまれた木のカウンターに座り、また、今年もひと夏、ここに通うことになるのだなぁと、何か、しみじみと懐かしい想いに浸っているところに、O氏登場。
まずは、4尾ばかり、焼いてもらうことにした。O氏もそれに続く。
そうそう、ことわっておくが、私の「鮎正」での鮎の食べ方は、他の客と少々変わっている。というか、塩焼しか食べない。コースを食べる客が大半の中で、私は、ひたすら塩焼のみ。最初に、小ぶりの鮎の塩焼と冬瓜の入った清まし椀を頂いたあとは、黙々と鮎の塩焼を食べるのである。
鮎の清流仕立て
多分、ハタから見れば、かなり異様な光景だろうなぁと思いつつ、平均6~7尾は食べる。そして、最後は、8尾の鮎雑炊が出るまでは、サバのヘシコのお茶漬などで〆めるのが常なのだ。
しばらくして、とりあえずの4尾が目の前に。解禁日早々とあって、まだ小ぶり。1尾あたり40~50gぐらいらしい。まだ、肝の苦味は浅いが、それでも稚鮎とは異なる成魚ならではのしっかりとした味、風味を感じさせる。
鮎の塩焼
「あ~~、鮎だぁ~~っ、これがやっぱり鮎だよね」
そんな感慨にふけりつつ、あっというまに4尾平らげて、3尾追加。
O氏は追加1尾にとどめ、代わりに"うるか茄子"を注文。これも、「鮎正」の名物の一つで、いわば茄子田楽のアレンジ版。田楽味噌の代わりに味噌は使わず、うるかを酒やみりん等でといたタレをかけて食べる一品だ。
私は、どうも茄子と相性が悪いらしく、食べるとアレルギーを起こしぜんそくの初期症状に陥るため、残念ながら、この料理を食べたことはない。けれども、食べた人は、皆、次に来た時には必ず注文しているから、なかなかイケル味なのだと思う。残った味噌にごはんを入れて食べるのがまたオツらしい。
最後は、いつものように鯖のへしこ茶漬を、と思ったら、鯖のへしこは品切れ。肩を落とす私に、山根さんの優しいひと言。
「鮎茶漬、してみます?」
もちろんしてみます!! 一も二もなく声を揃えて「お願いします」。
鮎茶漬
焼いた鮎をのせ、刻んだ"たで"を散らして、と見るからに夏の味。ホントは身をほぐして、ごはんとまぜまぜして頂くのが正しいのだろうけれど、塩焼きにした鮎だけ直に食べてしまった私。あとは、ただのお茶漬になってしまったンですが、それでも満足、満足!
今度は、少し、うるか醤油をたらしてみたらどうだろう?なんて、8月の鮎雑炊までは、この鮎茶漬を満喫するつもり。
本日は、お椀とお茶漬の鮎も含めて、全部で9尾。ごちそうさまでした。
東京都港区新橋4-17-5
☏03-3431-7448
営業時間/月~金17:00~22:00、土17:00~21:00
定休日/日・祝(11月~5月は第2・第4土曜日も休業)
森脇慶子
フードジャーナリスト
「dancyu」をはじめ、数々の雑誌やメディアのグルメシーンで活躍する、フードライターの草分け的存在。取材はもちろん、プライベートでもひたすら食べ歩きに邁進。その小柄な体からは想像できないほど強靭な胃袋の持ち主。「東京最高のレストラン」の採点者を務めるなど、その舌に絶大な支持を集める。