2009.10.05
「さんだ」六本木店ならではの新メニューを頂く
正肉も好きだけれど、もっと好きなのが内臓である。焼肉屋へ出かける時も、お目当てはいつもホルモン。個人的に選ぶ時は、まず内臓類の旨い店が第一条件となる。(もちろん正肉もおいしくなくてはNGだけれど)
そんなホルモンフェチの私も目を見張るほど極上の内臓類を楽しませてくれるのが、赤坂「さんだ」。いわゆるホルモン焼のそれとは全く異なり、ここでは、和洋中さまざまなスタイルにアレンジされた内臓類を、懐石のコースの如く少しずついろいろ楽しむことができるのだ。
その赤坂「さんだ」の姉妹店が六本木にもあるのだが、最近、ここのメニューが変わって、鍋や串焼きなどもいろいろ食べれると聞き、早速今夜訪れることにした。
とりあえずは、おまかせのコース5,500円を頂いてみることにした。
最初に登場したのは、"アキレス腱のポン酢だれ""ハツモトの中華風""ミノのゴマ和え"の小鉢3品。いずれも従来の内臓のイメージとは全くの別物。アキレス腱はそれと言われなければ、まるでふぐ皮だし、ハツモトは「これ、エリンギ!?」と尋ねた人もいたぐらいだ。それも上質の内臓を丁寧に下ごしらえしていればこそ!! 臭みなど皆無!! とてもきれいな味なのだ。
ハツの酢味噌和え
続いてフワッ、プルッの独特の歯応えが意表を突く"フワ(肺)のお刺身"が出た後は、"牛タン団子の吸物"が登場。一見、つみれ汁のようだが、食べるほどに牛タンならではの滋味がじんわりと広がる。
牛タン団子のすまし汁
これでひと息ついたところで、今度は生肉の出番。叩き風に周りだけサッと火を入れたレバ刺しは、光沢あふれる鮮紅色。次の"ハツ刺し"も、レバーに負けず劣らずの美しさ。鮮やかな赤に思わず目が止まる・・・と、この辺りまでは、赤坂店とほぼ同じ料理だ。
で、その次から、いよいよ六本木店ならではのメニューがおめみえ。見事な"牛トロ寿司"である。程良い霜ふりの肉はハラミ。その柔らかさ、旨味の豊かさ、そして脂の口どけの良さ・・・、ご主人が自信を持ってすすめるのもよくわかる。
"牛トロ寿司"
ゼラチン質たっぷりの"牛すじ煮込み"は、余分な脂がきれいに取り除かれ、純粋にコラーゲンだけを頂ける気分がして、女性には好ましい一品だ。
冷やしきゅうりを丸かじりして口直しをした後は、タン、ハラミ(塩)、ハツ、シビレ(タレ)の串焼き4本。各々に食感、旨味の加減が違って楽しい。そう、まさに内臓の魅力はそこにある。部位毎に異なる食感、味わいの妙。これがホルモンの深みにはまる甘い罠なのだ。
さて、クライマックスは、ご主人オリジナルの"牛頬肉のハリハリ鍋"。ふつうは鯨肉でやるところを、スライスした牛頬肉を活用。葛打ちされて皿に並ぶ様子は、鯨肉そっくりだ。
ハリハリ鍋の牛頬肉
鍋と共に、何やらゼラチン質の塊が登場。聞けば、牛すじのゼラチン質を抽出したものとか。鍋いっぱいに張った和風のだし(多分、かつおだし)が、このコラーゲン玉!?を入れることで、何とも言えず滋味豊かなスープに変身する。このスープがね、ホントにおいしいンです。和風のようにサッパリしつつもコクがあって・・・。ここに水菜と牛頬肉を入れ、スープごととんすいにとって頂くわけだ。
残ったスープも、雑炊にして平らげる。ウ~ン、チョッピリ明日の朝が楽しみだ。
このあと、胡麻プリンが出てコースは終了。だが「これも、食べてみて、新メニューだから」そう言って、ご主人がさし出したもう一品が"牛頬肉のシチュー"。優しい味わいのデミグラスソースに包まれた牛頬肉は、とろけるように柔らかく、一瞬"牛タン?"と思ったほどだ。これで1,800円はお値打ち。
"牛頬肉のシチュー"
1人ごはんなら、これとご飯でも十分かもしれない。串焼きなどのアラカルトもあり、自分流に楽しんでみるのもいい。
東京都港区六本木4-5-9
☏03-3423-2020
営業時間/17:30~23:30
定休日/日・祝
森脇慶子
フードジャーナリスト
「dancyu」をはじめ、数々の雑誌やメディアのグルメシーンで活躍する、フードライターの草分け的存在。取材はもちろん、プライベートでもひたすら食べ歩きに邁進。その小柄な体からは想像できないほど強靭な胃袋の持ち主。「東京最高のレストラン」の採点者を務めるなど、その舌に絶大な支持を集める。