2009.11.06
悲しくなるほど美しい'サンセット'、
海と旅館の静かなるドラマが感動的です!
「海椿葉山」白浜町/和歌山県
「日本に生まれてよかった・・・」と、つくづく思うことってありませんか? 私のように年間を通してほぼ半分を海外の旅に費やしていると、自分の故郷である日本の魅力がより鮮明にわかるようになり、とても誇らしく思うことがあります。
ここ和歌山県白浜町の「椿」という名の場所にひっそりと佇む小さな旅館「海椿葉山」は、そんな日本旅館の魅力と旅情を心から楽しめるところでした。
海を見下ろすアプローチと玄関
旅館は太平洋の大海原に抱かれるように断崖の上に建てられ、客室からの視界は一面の海で占められます。朝に夕に刻々と色を変える大海原は1分たりとて同じ様子はなく、1日中見ていても飽きません。時には空を飛ぶカモメや海鳥を目で追い、また、遠くを横切る船に目をやりながら客室でのんびりとする時間は、いつしか自分が海と一体になったように心がすっかり洗われ、都会の疲れもどこかに消えていってしまいます。さらに快晴の夜、月光に照らされた海の幻想的な光景は忘れることが出来ません。
夕暮れ時の温泉はかくも美しく情緒的
旅館に泊まると大きな楽しみである夕食は、美しいサンセットが終わり海が闇に包まれる前、濃い群青色に変わった海を眺めながら、新鮮な地元の海の幸や旬の素材が食卓に運ばれます。ここではご主人自らが腕を振るい心を込めて食事を用意してくれる、まさに6室だけという小さな旅館ならではの贅沢です。6部屋共にすべて海に面し、静かに楽しむ大人の隠れ家として贅沢な雰囲気づくりも演出されています。玄関に到着したときには、この旅館が断崖に建ち、海が迫り来るロケーションにあることがわからないのですが、客室に案内され、そのドアを開けた途端に前面に広がる海を眺めるのはとても感動的です。
客室から眺める太平洋の大海原
(左)庭を挟んで右は海に面した客室棟(右)どの客室も海に面し気持ちがいい
旅館全体がとてもユニークな建築であることにも驚かされるのですが、温かみのあるベンガラ色の壁とスタイリッシュなデザインの建物が、紀州産の杉や檜の木で造られているのを知れば心がさらに温もります。また、円筒形のロビーラウンジでは、木組みの高い天井が開放感たっぷり。暖炉のあるこの空間をいつでも好きなように使って欲しいと、オープンな雰囲気が漂っています。自分たちの部屋で食事を終え、その後に、ロビーラウンジでコーヒーやアルコールでも飲みながら、誰とはなく語り合うのも旅の楽しさでしょう。
(左)天井が高く快適なラウンジ、夜遅くまで話が弾む(右)太平洋の海風に包まれるデッキ。晴れた日は最高の気分
半露天の温泉浴場は海と一体になれる気分
美しい白浜の海へのこだわり、和と洋を融合させたこの建築は、ミレニアムの年に「グッドデザイン賞」を受賞したといいます。宮大工の手に委ねられた誇りの証でしょうか。また2箇所の天然温泉「椿温泉」のお風呂にゆったりと浸かれば、心身ともに癒されること間違いありません。世界中を旅してあちこちで感動していますが、日本でも、こうして温かなもてなしと美しい自然を楽しみ、その地方の魅力を心ゆくまで満喫できる宿があることを、心から誇らしく思うのです。(K.S)
海椿葉山(UMITSUBAKI HAYAMA)
和歌山県西牟婁郡白浜町椿1063-20
Tel 0739-46-0909 Fax 0739-46-0246
http://umitubakihayama.com/
客室数/6室
料金/1泊2食1室2名利用の1名料金、22.000円
(正月など特別料金は要問い合わせ)
施設/温泉男女各1、ラウンジ(ショップ、ライブラリィ、ロビーなど多目的サロン)
アクセス/JR新大阪駅からJR阪和・紀勢本線「椿駅」下車、車送迎あり、南紀白浜空港から車で20分
*予約は直接電話にて。
せきねきょうこ
ホテルジャーナリスト
フランス留学後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務中、 4ツ星ホテル住まいを経験。94年から世界のパイプを武器に ジャーナリズムの世界へ。ホテルの「環境問題、癒し、もてなし」 の3つをテーマに取材。スクープインタビューも積極的に行なう。 著書多数。近著に「ザ・スパ、ようこそ癒しの世界へ」(07年、 集英社刊)、「メキシコ~デザインホテルの旅」(08年9月ダイアモンド社刊)。